サンフランシスコ発--Oracleの最高経営責任者(CEO)Larry Ellisonが米国時間6月30日、反トラスト裁判の証言を行った。そのなかで同氏は、SAPからの競争圧力が高まったことと、Microsoftが業務アプリケーション市場に参入したことが、昨年のPeopleSoft敵対買収申し出の引き金になった、と述べた。
Ellisonは、人でいっぱいになった連邦裁判所で、「われわれは、基盤を固めて生き残りたかった。生き残って事業を成功させるためには買収しかないと感じた」と証言した。Oracleは、クライマックスを迎えたこの裁判で、PeopleSoft買収阻止に乗り出した米司法省の主張を覆したい考えだ。
Ellisonによると、PeopleSoftとの合併を初めて検討したのは、PeopleSoftのCEOであるCraig Conwayから、PeopleSoftとOracleのビジネスアプリケーション部門の統合を提案された2年前だったという。
両社はその後何度か会合を重ねたが、合併後の企業トップに誰が就任するかをめぐり両CEOの意見が合わず、統合を断念したとEllisonは述べる。Ellisonによると、Conwayは自分が引き続き経営に参加できる場合に限って合併に同意していたという。それに対し、Ellisonは、合併後の会社を経営するのは、自身をトップとするOracle側だと主張していた。
Oracleはそれから約1年後の2003年6月、ConwayがライバルのJ.D. Edwards買収に動いたため、PeopleSoftの敵対買収実行を決めた。
「われわれには、経営者を無視して株主に直接働きかけるしか方法がなかった」(Ellison)
このやり方は、PeopleSoftからは抵抗され、司法省からは怒りを買った。OracleがPeopleSoftを買収すれば、市場に残るのは、同社とライバル会社のSAPだけになると、司法省はVaughn Walker判事の前で証言している。Oracleは、ビジネスソフトウェアパッケージの分野では、小規模プロバイダおよびアウトソース企業、新規参入したMicrosoftなど、ほかにも選択肢が十分あると主張している。
Ellisonは、ライバルをつぶす略奪目的ではなく、生き残り戦略として敵対買収を申し出た。Oracleは、ドイツのライバル会社SAPがますます力を付けていることを特に懸念していた。SAPは、データベース事業におけるOracleの最大のライバルIBMとの提携関係を築き上げている。
「競争での力関係が急激に変化していた。われわれのアプリケーションビジネスには価格面で相当な圧力がかかろうとしていた」(Ellison)
またEllisonは、「Peoplesoftの顧客を困らせるようなこと」はしないつもりだったと述べた。同氏は、OracleとPeoplesoftのアプリケーションの後継となるバージョンを開発する計画だったという。「顧客が出来るだけ簡単に、(後継バージョンに)移行できるようにするつもりだった」(Ellison)
米司法省の追加の証言がこの後行われ、4週間にわたった裁判は1日に終了する予定。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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