調査会社2社が米国時間15日に発表したレポートによれば、ヨーロッパのPC出荷台数は、強いユーロのおかげで第2四半期に2桁成長を遂げることができたという。また、今後のPC市場の見通しも明るいとのことだ。
ハイテク市場の景気低迷が懸念される中、個人や企業は先を争うようにPCを購入している。調査会社のGartnerによると、x86チップを搭載したデスクトップ/ノートPC/サーバの出荷台数は、全世界で前年同期比13.3%増加し、米国でも11.4%増加したという。
また、GartnerのライバルIDCの発表によると、全世界、米国での出荷台数はそれぞれ15.5%、10.9%ずつ増加したという。これらの数字の違いは、両社が用いる調査手法の違いなどによる。両調査会社とも、企業別でみると、出荷台数世界第1位はDellで、第2位のHewlett-Packard(HP)との差を広げている、と述べる。
GartnerのアナリストCharles Smuldersは、「IT市場のほかの分野で見られるような、需要の落ち込みが、PC市場では一切見られない」と語った。
ヨーロッパでは、出荷高の成長率が20%近くを記録し、4期連続で市場を牽引した。この成長は、強い通貨と企業のアップグレードタイミングなどに後押しされている。
その結果、ヨーロッパでの取り組みを重視した企業はライバルを上回る成長を見せた。GartnerとIDCの両社によると、現在世界第5位につけるPCメーカーAcerは、出荷台数が30%以上も伸びたという。一方、世界第4位のFujitsu Siemensは19%以上の成長を達成した。同PCメーカーは、かつては成長の遅い大企業の1つだった。
IDCのアナリスト、Loren Loverdeは、「昔ほどのブランド力もないから米国では彼ら(Acer)も苦戦しているが、ヨーロッパでは大胆な価格設定と流通チャネルのプロモーションが功を奏した」と語った。
しかし、価格の低下が売上台数を押し上げていることから、売上高は出荷台数ほどの伸びを見せていない。また、ノートPCの出荷台数は第1四半期から第2四半期にかけてやや鈍化しており、これが全体の売上高を低下させている。2003年は、PCの出荷台数が2002年と比べて約12%増加したが、総売上高は1750億ドルでほぼ横這いだった。
このような点を考えると、PC市場の先行きは、必ずしも楽観視できるなものではない。
「ここ数カ月の間で、市場に対する期待感は少し落ち着いてきた」とSmuldersは述べる。
今年後半は、PCの出荷台数が増えそうだ。しかし、利益は、前年同期と比べて減少する。昨年の第3四半期は、第2四半期よりも好調だったため、前年同期との比較結果も厳しいものになりそうだ。Loverdeによると、今年後半はPC出荷台数が11〜12%程度しか伸びないだろうという。それでもIDCでは、2004年と2005年は、出荷台数が2桁成長するものと見込んでいる。
第2四半期もDellは、ライバルHPを引き離すことに成功した。いまや、Dellの全世界におけるシェアは18.3%。これは、同社の世界シェアが前年同期の17.2%から22.5%成長したことを意味する。なお、Dellの全米におけるシェアは32.9%。一方、HPの世界シェアは15.7%で、前年同期の19.3%から15.4%も減少している。HPの全米でのシェアは19.3%だった。
Dellは、世界と米国の両市場において、HPより速く成長した。ただし、HPはDellよりも小売りに重点的に取り組んでいるので、第4四半期には両社の立場が逆転する可能性もある。しかし、IDCのLoverdは、簡単には逆転出来ないだろうと述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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