欧州連合(EU)はMicrosoftが独禁法に違反したとする裁定を下したが、PCメーカー各社の最初の反応を見る限り、ことWindows Media Playerに関しては、この裁定の影響はあまりなさそうだ。
現地時間24日に下されたこの裁定は、欧州向けにMedia Player未搭載のWindows OSを90日以内に提供するようMicrosoftに命じている。現在、同社はマルチメディアアプリケーションをOSにバンドルしており、新しいPCには工場での生産時に同アプリケーションがインストールされている。
一部のPCメーカーの最初の反応から判断すると、メーカー各社はいつも通りの路線で行くか、静観の構えをとるかのどちらかのようだ。アナリストらによれば、デスクトップ機ならびにノートPC市場での熾烈な争いを考えれば、メーカー各社が、Media Player非搭載版のWindowsを提供するのは、価格優位性のような何らかの利点がある場合だけだという。
欧州委員会の裁定は、MicrosoftがMedia PlayerをバンドルしないWindowsを高い価格で販売したり、あるいはそのパフォーマンスを劣らせるなどして非バンドル版を魅力のないものにすることを禁じている。しかし、EU当局が同日発表した裁定の要旨には、Media Player非バンドル版のWindowsを値引きして提供すべきかどうかについては明言がなされていない。また、Media Playerをバンドルしたバージョンの欧州での販売中止も要求していない。
同裁定は実質的に、PCメーカー各社に対して、デスクトップ機やノートPCにMedia Player非バンドル版のWindowsを提供するか、もしくは同社のMedia Playerと競合するマルチメディア製品を搭載する、というオプションを与えるものだ。この意味で、今回の裁定はRealNetworksのRealPlayerソフトウェアや、Apple ComputerのQuickTimeにチャンスを与えるものとなる。しかし、Windowsマシンを販売するコンピュータメーカーに対しては、ほとんど影響を与えないようだ。
「個人的には、Acerにとって大きな変化があるとは考えていない。我が社は引き続き、新しいPCにWindows Media Playerをバンドルするつもりだ」と、Acerの欧州事業を担当するEMEA部門社長のGianfranco Lanciは述べた。「最初の感想は、ヨーロッパのPCメーカーにとって大きな影響はないだろうというものだ」とLanciはコメントしたが、ただし欧州委員会の発表した最終判断はまだ目にしていないと述べた。
販売台数でヨーロッパ第3位のPCメーカー、Fujitsu-Siemensの広報担当、Amy Flecherは、製造段階でどのソフトウェアをインストールするかをユーザーと相談しながら決めるという、通常の業務手法を継続するだろうと述べた。
「Microsoftとの契約では、我々はWindows Media Playerをプリインストールしても、しなくても良いことになっている」と同氏は語り、さらに「この裁定が出されたからといって、変わる点は何もない」と付け加えた。
PCメーカー各社は今後もこうした態度を取り続けることになりそうだと、アナリストらは指摘している。
「メーカーにとっては、これまでと何の違いもないだろう」とJeremy Davies。PCの売り上げを追跡するロンドンの調査会社Contextのアナリストである同氏は、「メーカーは常に、何かをさらに安く売ることで他社に抜きんでようと、そのための機会を探している。Media Playerが何か影響を与えるかどうかについては... Microsoftが何かをすれば、それが何であろうと、メーカー側は影響を受けることになる」
Hewlett-Packard(HP)、Dell、IBMを含む他のPCメーカーに同日コメントを求めたが、各社ともまだこの裁定について検討中だと答えていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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