Googleのウェブ広告での成功が、収益を広告に頼る企業にとって急激に両刃の剣となりつつある。
先週、画像を使ったウェブ広告の販売に乗り出したGoogleは、重要なオンライン広告ネットワークとしての地位を固め、資金の豊富なブランド広告主から広告を集めようとしている。27億ドルに上る新規株式公開を間近に控える同社にとって、これは重要な方向転換だ。
さらに特筆すべきは、Googleが収益性の高い同社のビジネスモデルを拡大し、ダイレクトレスポンス型の広告を、さらに資金の潤沢なブランド広告分野にも取り入れていく点だ。広告のパフォーマンスに応じて料金を支払うGoogleのシステムは、検索キーワードのオークションで最高値を付けた入札者に広告を掲載する権利を販売し、ウェブユーザーがその広告のテキストリンクをクリックしたときだけ対価を支払う仕組みになっている。これは、立て看板のようなバナーや縦に長い「スカイスクレーパー」といった、クリック数とは無関係に1000回表示単位で販売される表示型広告と対極にある(これらの広告はコスト・パー・インプレッションあるいはCPM広告と呼ばれ、テレビや印刷広告に近い)。
仮にGoogleのシステムが成功すると、実際に広告を表示する提携コンテンツサイトなどでは、たとえブランドの価値をきちんと伝えたとしても、ユーザーが広告をクリックしなくては収入を得られなくなってしまう。そして、このことが表示型広告に特化した他のオンライン広告ネットワーク各社を苛立たせている。これらの企業では、ネットと盛衰を共にしながら、その間ずっとブランドロイヤリティを高めるのにオンライン広告が欠かせないことを証明しようとしてきたからだ。
「Googleは、バナーはクリックされなくては価値がないと公言しているが、これは過去5年に及ぶバナー広告に関する調査の結果とことごとく対立するものだ。ブランドの認知度向上や購入に関する意志決定にバナー広告が影響を与えることは、これらの調査で立証されている」と24/7 Real MediaのCEO(最高経営責任者)Dave Mooreは語った。ニューヨークに本社を置く同社は、全世界800サイトの広告枠を販売している。
Googleのサービスを導入するかどうかは各サイトの運営者が判断することになるだろう。そして、少なくとも1カ所の大手ウェブサイトはすでに「しない」と答えている。
それでも、Googleはインターネットの復活を象徴する模範的存在であることから、同社の動きにはかなりの影響力がある。10億ドル近い年間売上高を誇る同社は、インターネットの全盛期以来最大規模の新規株式公開で27億ドルの資金調達を目指している。同社の検索マーケティングプログラムは、オンライン広告業界全体が再び繁栄するのに力を貸し、またその中で最も急速な成長を遂げる分野の牽引役となっている。
Jupiter Researchによると、米国の検索広告市場の売上規模は、昨年の16億ドルから今年は21億ドルに成長し、2008年までには43億ドルに達すると見られている。
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