メインフレーム事業を開始から今年が40年目にあたるIBMが、メインフレーム向けのJava専用モジュールを開発し、また中規模企業向けの低価格メインフレームを発表した。
zSeries Application Assist Processor(zAAP)は、簡単にいうとJavaアプリケーション専用のプロセッサだ。現在でもIBMのメインフレーム上でJavaを実行することは可能だが、Java専用のハードウェアはまだない。zAAPの価格は、マイクロプロセッサ1基当たり12万5000ドルとなっている。
IBMは7日(米国時間)に、メインフレームを一躍有名にしたコンピュータ、S/360の発売40周年を記念して、カリフォルニア州マウンテンビューにあるComputer History Museumで祝典を開く予定だが、今回の新作発表はその前夜に行われた。1964年に発売されたS/360は、IBMの歴史の中でも最も野心的なプロジェクトの1つで、同社はこのプロジェクトに50億ドルを投資し、その過程で5つの新工場を建設した。当時、同社の年間収入はわずか32億ドルにすぎなかった。
S/360は、1台のコンピュータ上で同時に複数のアプリケーションを実行させることができた点で、当時の他のコンピュータと一線を画すものだった。
またzAAPモジュールは、現在進行しつつあるコンピュータ製品の進化を浮き彫りにしている。いわゆる「緑色の画面」は姿を消しつつあるものの、JavaやLinux、そしてIBMのWebSphereといったソフトウェアプラットフォームは全て企業向けメインフレームに必要不可欠な要素となりつつある。
さらに、IBMは中規模企業向けの新しいメインフレームとストレージシステムを発表した。
このz890は昨年発売されたz990メインフレーム(開発コード名:「T-Rex」)と同じ機能を数多く備えるが、ターゲットはあくまで中規模企業だ。z990と同様に、z890も例えばオン/オフ・キャパシティ・オンデマンド(On/Off CoD)を備える。このOn/Off CoDは、管理者が予備のプロセッサを一時的に追加/除去することにより、トランザクション量の急激な増加に対応できるというもの。
z890は、z800の後継機にあたり、3割ほど容積を小型化する一方で性能は大幅に向上している。
IBMはz890の価格を明らかにしていないが、z990よりも低価格になるという。IBM製メインフレームの最低価格は通常100万ドルからスタートする。顧客によって構成が変わるため、z890は28通りの容量レベルで販売される。
メインフレームの市場には、標準化の進んだサーバが食い込んでいるものの、少なくともIBMに限っていえば、いまだに売上が伸びを見せている分野である。調査会社IDCによると、同社は昨年合わせて2700台のメインフレームを販売し、43億ドルの売上を記録したという。ちなみに2002年度の販売台数は2300台で売上は40億ドルだった。これに対して、初期に競合していた他社の多くはすでに消滅している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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