1年前、ワイヤレスネットワーク対応ノートパソコン用にCentrinoチップパッケージをリリースしたIntelは、LinuxでCentrinoを利用するための公開プロジェクトを開始した。
IntelのJames Ketrenosというプログラマは9日(米国時間)、Linuxカーネルメーリングリスト上で、Intelの802.11bワイヤレスネットワーク製品の機能をLinuxで利用できるようにするソフトウェアプロジェクトを発表した。このプロジェクトで開発するオープンソースのソフトウェアモジュールは、オープンソース・コラボレーションプロジェクトサイトのSourceForgeに置かれる。
Centrinoは、Pentium Mプロセッサとワイヤレスネットワークモジュール、そしてこれらのチップと他のコンピュータサブシステムとを接続するIntel製チップセットで構成される。Linuxはこのプロセッサ上で動作するが、これまでLinuxでワイヤレスネットワーク機能を利用するには、Microsoft Windowsのワイヤレスモジュール用ドライバソフトウェアに「便乗」する形を取るしか方法がなかった。
今回のIntelの動きは、好意的に受け入れられている。Linuxの新2.6バージョンに取り組んでいるRed Hatのプログラマ、Arjan van de Venは「プロジェクトを始動してくれて、どうもありがとう! ぱっと見たところ、ドライバも非常に良いようだ」と同メーリングリストに投稿している。
LinuxのプログラマはIntelに対し、CentrinoハードウェアのLinuxサポートを請願してきた。この圧力にIntelは方針を改め、2004年末までにLinuxとWindowsのドライバソフトをほぼ同時期にリリースすることにした。
Intelは現在、より高速な802.11aおよび802.11g標準のサポートを追加した、Linux向けのワイヤレスネットワーク用チップのドライバ開発に取り組んでいると、同社広報Barbara Grimesは述べている。
「我々はまず802.11bドライバから取りかかった。次のステップは802.11b/gドライバだ。それからa/b/gドライバに取り組んでいく」とGrimesは述べたが、ただし同社のスケジュール目標の詳細は明らかにしなかった。
Linuxの心臓部にあたるカーネルは、General Public License(一般公衆利用許諾契約書:GPL)というライセンスで管理されている。GPLでは、ソフトウェアの中味の自由な閲覧・変更・再配布が認められているが、変更したソフトウェアを再配布する場合、その変更部分を公表することが条件となっている。IntelのワイヤレスドライバはGPLライセンスのもとでリリースされた。
IntelがCentrinoのLinuxサポートをなかなか行なわなかったのは、オープンソースのドライバによって同社のプロプライエタリな情報が露呈されるを懸念したためだ、とIntelのSoftware and Solutions Groupゼネラルマネージャー、Will Swopeは1月のインタビューで語っていた。Swopeは、Intelがプロプライエタリなドライバを検討中だと述べていたが、Grimesは10日、Intelには現時点でLinxu用プロプライエタリドライバの計画はないと話している。
Intelが今回プロジェクトを発表したドライバソフト自体はオープンソースのソフトウェアだが、ただしこれには「ファームウェア」というプロプライエタリなモジュールが付属している。このファームウェアはワイヤレスネットワークのサブシステム自体の上で動作するプログラミングコードだ。
Intelのドライバソフトでは、Wired Equivalency Privacy (WEP)暗号化機能やアドホックなネットワーク機能など、いくつかの機能がサポートされない。さらに、省電力機能のなかにもサポートされないものがあると、Ketrenosは説明している。
「我々は、今後数カ月のうちに、重要なワイヤレス機能はすべてサポートすることを計画している。また、Linuxコミュニティから支援を得られれば、もっと短期間でサポートを追加できるだろう」(Ketrenos)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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