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Sunは復活するか?--Javaの生みの親に聞く

Martin LaMonica(CNET News.com)2004年02月05日 10時00分
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 米Sun Microsystemsが最近更新したJava開発者用ウェブサイトを見てみると、ある新しいものが見られる。それはJavaの第一人者であるJames Goslingの写真だ。

 GoslingはSunが開発したプログラミング言語、Javaの主な発明者の1人だ。それなのに彼は、この2年間、SunのJava開発の現場から離れて過ごしてきた。Goslingは「技術者休暇」をとって独自の研究プロジェクト「Jackpot」を立ち上げ、プログラミングを簡単にする方法を考えていた。

 そして今、Goslingは再び「Javaの教祖」としての役割を果たすことになった。昨年11月、GoslingはSunの開発ツール部門の最高技術責任者(CTO)に就任したのだ。現在はJackpotの成果の一部を提供したり、同部門の戦略に取り組んだりしている。

 開発ツール市場での復活、そしてソフトウェアビジネスの復活を賭けて、Sunは数多くの取り組みを展開している。GoslingがJava製品開発現場に復帰したのもその一環だ。Sunの最高ソフトウェア責任者であるJonathan Schwartzは、開発者を「あらゆる技術系企業の活力のもと」だと語る。しかし現時点で、同社のJavaソフトウェアの健康状態は貧血気味と言えるだろう。Javaの創始者であり幹事役であるはずのSunが、Javaサーバソフトウェアやツールの市場シェアで他社に遅れをとっているのだ。

 Sunはソフトウェアを最優先課題と考え始めている。過去数カ月の間に、SunはLinuxベースのデスクトップシステムを発売し、Javaサーバソフトウェアパッケージの販売方法を変更し、NetBeansオープンソースツールプロジェクトなどの開発者用特別サービスプログラムに投資した。そしてGoslingが、JavaにおけるSunのかつての成功を再現するため、現場に戻ってきた。

 GoslingはSunへの自身の復帰について、そしてソフトウェア開発業界全体について、CNET News.comに語った。

--Sunは、Java Tools Community(JTC)の創設を強力に支持した企業のひとつですね。JTCはJava標準プロセスの中でより良いツールを推進していると思われますが、このJTC設立が必要だった理由は何ですか。

 既存の標準化の取り組みの中には、技術に合うツールコンポーネントが存在せず、最終的にツールとの調整をしなければならなくなるものが多数あります。これは単に「ツールの問題だ」と言うことはできません。本当に広い範囲の活動にまたがる問題です。このような広範囲の中でも共通するテーマを引き出すこと、それが真のJTCの目的です。

 この類の拡張プロセス、つまりウェブサーバを展開し、円滑にツールと統合するのに、何年もかかるはずがありません。もっと早くできるはずです。

---Javaツール一般についてはどうですか。Javaは高性能だが、プログラムミングを学ぶのが難しいと、よく言われました。Javaツールの現在の方向性についてどう思われますか。

 ツールの分野で人々が抱える大きな課題のひとつは、開発者の能力レベル、そして開発者が構築するツールの性能レベルの両面で、極端な差が見られることです。

 ある統合開発環境(IDE)を構築しようとします。古いIDEは、すべての人にとってあらゆるものが揃う環境を構築しようとしていました。それでは最終的に恐ろしく複雑になります。複数の目的があると、多くの異なる機能が必要になるからです。そうすると実際には、飛びぬけた効果を上げる機能がひとつもない環境になる可能性があります。焦点が多くの異なる事項に置かれているからです。

 ですから、どんな方向性を選択した場合も、別の方向には行かない決断をする必要があります。IDEの焦点も絞られるようになってきました。すべてのIDEが市場の異なる専門分野に焦点を絞っているとも言えるでしょう。

 例えば、私が最も気に入っているIDEにBlueJと呼ばれるものがあります。BlueJは本当によくできていますが、極めて専門的です。プログラミングを経験したことがない人の教育を支援するために設計されており、教科書なども付いてきます。これを利用している中学や高校、大学の大きなコミュニティがあります。

 開発者が立ち上げた開発者コミュニティも世界中にあります。おそらく世界で最も単純化されたIDEですが、専門分野にとても特化しています。すべて教育的プロセスに関するものだからです。携帯電話などに関するIDEの関係者もいます。

---現在Javaツールには多数の製品があり、BEAやSunのような企業はプログラマがより使いやすいツールを作ろうとしています。競争力という点で、Sunの秘策は何ですか。どのように他社からシェアを奪おうとしていますか。

 それは我々にとっても多少厄介な分野と言えます。我々には2つの顔があるからです。Javaコミュニティの幹事役として我々は多様性を強く支持しますし、市場に複数の競争相手がいるという事実は良いことです。とは言うものの、我々も自社製品を持っていますので、勝ちたいという気持ちもあります。

 NetBeansで我々は本当に優れたIDEを実現しており、多数の良い評価を受けています。Java Studio Creatorの前評判は、非常に高いものでした。ですから、我々はその先行きを非常に楽しみにしています。そして、この2つが(他社に対抗して)進化していく過程を楽しみにしています。面白いことになるでしょう。

---Sunではツールはどの位重要ですか。ツールは大きな収益源なのでしょうか。それとも、より大きな販売への入り口のようなものですか。

 コンピュータシステムには陰と陽のような面があります。ハードウェアとソフトウェアがありますが、どちらも他方なしには機能しません。ですからSunのハードウェア側から見た場合、そのハードウェア上で動くソフトウェアの、大きくて活気に溢れた市場が絶対的に必要です。おそらく、Sunのツール部門で最も重要な要素は、Java開発の世界を、より簡単で、より魅力的で、経済的にも活気あるものにして、もっともっと面白いソフトウェアが生まれるようにすることです。それが需要を促進します。

---IBMが支援するオープンソースプロジェクトEclipseが、ここ18カ月で大きな勢いを得ています。また、Microsoftもツールの生産性の高さで有名です。この2つのプラットフォームを大きな競争相手と見ていますか。

 そうですね。全く違う見方で、両者を競争相手と見ています。Eclipseは、私がとる立場によって好き嫌いが分かれます。Javaコミュニティの一員という立場では、Eclipseが大好きです。ツール部門のCTOという立場ではあまり好きではありません。(SunのCEOである)Scott McNealyと似た立場ですから。これはホッケーの試合のようなものです。チームがひとつしかないリーグのホッケーは退屈でしょう?だから、一方で我々は健全なリーグをつくるために最大の努力をしています。リーグがなければ試合ができませんから。他方で、我々は強くなり、次の試合に勝ちたいと思っています。

 Microsoftとの競争には、ある種違った意味合いがあります。それは生死を分かつ戦いにもっと近いですね。

---その理由は。

 そうですね、Microsoftが成功すれば、業界の残りの企業が利益を得ているエコシステム全体が消滅するからです。

---どのように。

 Microsoftの世界観は「相互運用性は全く必要ない」というものだからです。相互運用性があるとしても、それはWindowsの異なるバージョン間のことで、我々は生物学的に異なる種類だとみなされます。

---Microsoftは確かにWindowsを中心としていますが、Webサービスなどの標準に関しては他社と協力もしています。

 同社のWebサービスの部分はとても素晴らしい。非常にうまくいっています。しかし、ツールの話となると別です。Visual Studio .Netのツールを使うと、Microsoftのすることに完全に縛られます。ほかのプラットフォームとの相互運用性は全くなく、できることは遠隔でのメッセージングだけです。そこでは、Windows以外のプラットフォームでアプリケーションを動かすことができません。

 これに対し、NetBeansを使えば、そのアプリケーションをIBMプラットフォーム上でも動かせます。Eclipseを使えば、EclipseをSunプラットフォーム上で使えるだけでなく、Sunプラットフォームで作成したアプリケーションを動かすこともできます。どちらも、Visual Studioでは不可能です。MicrosoftのWebサービスが提供するのは、他人と会話をする能力だけで、開発者がほかのプラットフォーム上で動くアプリケーションを開発する能力は提供されません。ですから、それは本当にとても弱い相互運用性なのです。

---新しい仕事について少しお話しいただけますか。どのような任務があるのですか。

 何年もの間、私はSunの看板的役割を果たしてきました。それが非常に長期間に渡ったので、技術者休暇をとることになりました。そこでは私が本当に大好きなこと、つまり、実際に腰を落ち着けてSun研究所でコードを書いていました。私の研究は開発者ツールに関するものですが、そのプロジェクトはすぐに、科学プロジェクトではない段階に到達しました。それはある種の科学を使った工学プロジェクトと言えるでしょう。そこで、その製品化を考えたほうが良いとなったのです。

 私には現在2つの目標があります。ひとつは、私の人生の最近2年間をとり上げてその落ち着き先を見つけ、それを実現し、そしてツールを使って本当に進化した面白いことをすることです。もうひとつは、一般的なCTOの役割を果たすことです。報道陣に話をすることや、グループ戦略の立案、顧客との協力などがあります。

 私の目標は、あらゆることに少しずつ関わることと言っていいでしょう。私にとっての最終的な目標は、Sunのツールを実際に市場で一番素晴らしく、一番高度で、一番興味深いものにすることです。Sunには今、非常にたくさんの素晴らしいものがあります。我々には相当なチャンスがあると考えています。

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