オープンソースの開発ツール関連コンソーシアム、Eclipseは、2月までに独立組織に移行する。IBMが後援している同プロジェクトの代表者が20日(米国時間)、この計画を明らかにした。
Eclipse会長のSkip McGaugheyは、Eclipseコンソーシアムが企業法人としての地位を変更するための書類を提出したと発表した。2月第1週までにはこのプロセスが完了する見込みだという。独立組織への移行はかなり前から予想されていたが、今回、2月2〜5日にカリフォルニア州アナハイムで開催されるEclipse技術カンファレンス「EclipseCon 2004」にタイミングを合わせて行なわれることになった。
McGaugheyによると、ソフトウェア開発会社約50社で構成している現在のEclipseコンソーシアムは、Apache Foundationなど成功を収めているオープンソース組織をモデルとした、非営利組織のEclipse Foundationとして法人化されるという。
Eclipseは会員のレベルに階層を設け、Eclipseに金銭的および人的に貢献する「戦略的パートナー」で理事会を構成する、とMcGaugheyは話している。
McGaugheyによると、Eclipseは、伝統的なIT産業やLinux、組み込みシステムを扱う中小企業会員で委員会を構成する計画だという。個人のコントリビュータや、大学や他のオープンソース団体などの非営利組織は無料で会員になれる。営利企業も、少なくとも1つの商用製品がEclipseベースであれば、5000ドルで会員になることが可能だ。
ソフトウェア業界の開発ツール分野では、Eclipseがコンソーシアムからオープンソース組織に移行するのを長らく待ち望んでいた。
IBMは2001年にEclipseを立ち上げ、4000万ドルを寄付したほか、このツールの開発に相当な資源を提供してきた。Eclipseソフトウェアには、1つのアプリケーション内にコードエディタやアプリケーションモデリングツールなどさまざまな開発ツールが含まれており、Eclipseはこうしたさまざまなツールを使うためのソフトウェア「フレームワーク」を構築する。
ソフトウェア業界幹部の中には、IBMがEclipseを支配していることに不満をあらわす人々もいた。Eclipseのコードは、IBMの全ソフトウェア製品共通の開発環境をつくり出すというIBMの戦略の基礎となっている。Javaを開発したSun Microsystemsは先月、Eclipseへの参加を断念したが、この際に同社では「IBMが我々の2つの提案を却下しながら、最終的に公平な提案を全く提供したがらなかった」ことを理由に挙げていた。
IBMからEclipseに出向中のMcGaugheyは、今回の変更について、現在の組織形態からの進化だと説明している。
「Eclipseほどの重要性を持つ業界をあげての取り組みをある特定の企業が支配していては、組織の運営はとても難しい。Eclipseは、どこか1社が切り盛りするには規模が大きくなりすぎた」(McGaughey)
Eclipseの会員数は過去1年半の間に急速に増加し、現在50社となっている。またEclipseが開発を進めるソフトウェアは、とりわけJavaプログラマの間で高い人気を博している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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