沖電気工業は2月4日、大規模IP-PBX機能と基幹業務アプリケーションをMicrosoft .NET上で融合させるIPテレフォニーサーバ「IP CONVERGENCE Server IPstage SS9100」を発表した。同社代表取締役社長の篠塚勝正氏は、「これまでわが社では、情報・通信の融合の第1幕として、高品質IP電話機“e音(いい音)”や、ウェブとテレコミュニケーションを融合させたAP@PLATなどを発表してきた。今回発表するIPstageは、第1幕で築いた技術や実績をベースとした新たな製品で、これにより第2幕が始まる」と述べた。
マイクロソフト代表執行役社長のマイケル・ローディング氏(左)と、沖電気工業代表取締役社長の篠塚勝正氏 | |
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IPstageは、企業ネットワークに存在するPBXシステムや個々の電話端末、またCRM、ERP、SCMといったアプリケーションシステム群を結びつけることができるもの。同社執行役員IPソリューションカンパニープレジデントの浅井裕氏は、「設計、生産、物流、販売といった各業務には、これまで情報の壁とコミュニケーションの壁という2つの壁が存在していた。情報の壁はSCMやCRMなどの導入で解決されつつあるが、業務間におけるコミュニケーションの壁は改善されていなかった。IPstageでは、各業務の担当者と通信手段を的確に選択して接続することが可能なため、担当者を検索する手間や電話接続の手間を省くことができる。これで業務プロセスにおけるコミュニケーションの壁がなくなるため、トータルリードタイムが削減できる」と説明する。
このシステムは、業界初の.NETを基盤とした大規模なPBXシステムとなる。沖電気とマイクロソフトの協業関係は2001年よりはじまっていたが、浅井氏は「オープンプラットフォームの.NETを採用することで、様々な業務アプリケーションとの連携が可能となる」という。Windowsに関しては、様々な脆弱性が指摘されているが、浅井氏は「社内で厳しい評価をした上でWindowsの採用を決めた。問題はない」としている。いっぽうのマイクロソフトも、「セキュリティや信頼性に関しては、わが社で一番力を入れている部分でもある。沖電気がこのようなミッションクリティカルな分野でWindowsの採用に踏み切ったことからしても、Windowsが信頼性のあるものだとわかってもらえるだろう」(マイクロソフト代表執行役社長、マイケル・ローディング氏)と述べた。
沖電気とマイクロソフトは、今後もコンピュータテレコミュニケーション分野の協業を強化していく。マーケティングはもちろん、商品やソリューションの共同開発も行い、今後は米Microsoftの技術協力の下、基幹業務アプリケーション連携システムに要求される信頼性や性能の向上を目指したWindows Telephony Study Groupを共同で立ち上げるとしている。マイクロソフトのローディング氏は、「通信市場とコンピュータ市場はこれまで別の分野だったが、この2つの融合は最近のトレンドとなっている。マイクロソフトのメッセンジャーテクノロジーも、ビジネスプロセスと音声コミュニケーションの融合に大きな貢献ができる。今後も顧客の期待に応えられるようなテクノロジーを提供し続けたい」と語った。
沖電気によると、IP-PBX機能と基幹業務アプリケーションを完全に融合させたシステムは業界初だというが、「今後NECや富士通、日立製作所などの競合企業も同様のシステムを開発する可能性は高い」(同社広報部)としており、今後もこの市場でのシェア争いは続くと見られる。IPstageの価格は、1000ユーザーのモデルで4500万円から。沖電気では、IPstageの販売目標を「3年間で3000セット」としている。
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