市場調査会社のiSuppliが発表した新しい報告によると、中国が独自に開発した先進的なDVD標準は、競合技術との競争など、いくつかの障害に直面しているという。
29日(米国時間)に発表されたこの報告書のなかで、iSuppliのアナリスト、Daniel Yangは、複数の中国メーカーが、EVD(Enhanced Versatile Disc)と呼ばれる技術をベースにした製品の開発を進めていると記している。EVDは、中国で開発された独自フォーマットだが、これらの製品には江蘇新科電子集團公司(Jiangsu Shinco Electronic Group)が今年始めに生産した、10万台のEVDプレーヤーも含まれている。
Yangは、EVD業界の台頭を阻む深刻な問題があると警告する。今日のDVD技術を継承する形で設計されたフォーマット、Blu-rayやHD-DVDなどとの競争は、その一例だ。Blu-rayは、ソニー、Philips Electronicsなどが支持する技術で、一方HD-DVDは東芝やNECが後押ししているもの。
「EVD市場が、予想通り成長できるかどうかは、まだわからない」(Yang)
新華社通信によれば、中国で開発されたEVD標準は、ライセンス料の支払額を減らし、「生産現場における外国産技術への依存を絶つ」ために政府が支援する複数のプロジェクトのうちのひとつだという。
中国による独自の技術開発の動きは、EVDに限らず、たとえば先進的な携帯電話や無線データ通信など、他の分野にも見られるものだ。例えば、中国は最近、Wi-Fi(無線LAN)機器を同国に輸入・販売する全ての企業に対し、Wired Authentication and Privacy Infrastructure(WAPI)と呼ばれる暗号化標準の採用を義務付ける新しい方針を発表した。WAPIは、中国が独自開発した暗号化技術で、他の国や地域では採用されていない。
中国は、EVD標準を普及を進めることで、(外国企業に対する)特許使用料の支払いを減らすことを狙っている、とYangは言う。DVDプレーヤーの場合、中国メーカーは知的所有権を持つ国際的な所有者のグループに対し、「相当な額の使用料」を支払っているという。
Yangによれば、中国の電子機器メーカー9社は、EVDプレーヤーの開発と推進を目的とするEVD業界連合を昨年結成したという。また、中国のBeijing Homaa Microelectronics TechnologyとBeijing E-world Technologyが、米LSI Logicの協力を得て、EVDデコーダー製品を既に開発済みだという。
他の先進的なDVDフォーマットとの競争に加えて、EVDには「映画などの十分なソフトウェアライブラリーが無い」という問題もあると、Yangは指摘している。
Yangはさらに、EVD製品が高品位テレビにどの程度するかも、問題となる可能性があるという。「高品位テレビとの間に互換性がなければ、HD(High-Definition)フォーマットにおけるEVDプレーヤーの強みが無駄に終わる」(Yang)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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