世界の主要な2つのネットワークストレージアーキテクチャ、SANとNASの統合が進んでいる。
EMCやIBMなどの大手から、BlueArcといった知名度が低い企業まで、各ストレージメーカーが、ネットワーク接続型ストレージ(NAS)とストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)のそれぞれの長所をうまく組み合わせ、データ保存の効率向上およびコスト削減を図る取り組みを始めている。
既存のEthernetネットワークに接続するNASは、SANに比べ管理は簡単だが、性能面で劣り、また容量不足に陥る可能性がある。一方SANは、一般にNASに比べ高速で、より多くのデータ保存が可能だが、高価なため、ファイル共有がしにくくなる可能性がある。
地元の法執行グループ向けに記録管理サービスなどを提供しているLESA(Law Enforcement Support Agency:ワシントン州タコマ市)は、BlueArc製の6テラバイトのSiliconServerシステムを選んだ。このシステムは、表面上はNAS製品で、Ethernetネットワーク上でファイル提供を行うが、SAN並の処理速度を約束するものだ。
「性能の低下は一切見られなかった」と語るのは、LESAの情報システムマネジャーのDavid Reinker。「処理速度がわずかだが早まったケースも見られた」(Reinker)。
BlueArcのSiliconServerは、1つのキャビネットで、SAN並の最大256テラバイトのデータ保存が可能となっている。
同社は26日(米国時間)、NASとSANの要素を組み合わせた新製品、Titan SiliconServerを発表する予定。この新製品では、容量がさらに拡大されるほか、時間の経過と共にシステムスピードが向上するといった新機能が追加される。
NASとSANを統合しようという動きを示す1つの徴候として、いわゆるNASゲートウェイの人気の上昇があげられる。NASゲートウェイとは、SANとEthernetネットワークとの接続を可能にする、独自のディスクを持たない機器を指す。市場調査会社のGartnerによると、昨年の全世界のNASゲートウェイ製品の総売上は前年から一気に27%増加し、8400万ドルに達したという。Gartnerは、NASゲートウェイの売上は2002年から2007年まで年間27%ずつ増加し、2007年には2億1500万ドルに達すると予想している。
一方、同期間の統合型ディスクストレージ搭載NAS機器の売上は、年間16%ずつ増加し、2007年には28億ドルに達するとGartnerは見ている。またSAN機器の売上は、年間11%ずつ増加し、2007年に103億ドルに達すると予想されている。
SAN-NASの統合への動きは、ディスクベースのストレージ資源をより効率的に活用しようとする、長期間にわたって続く流れの一部で、サーバコンピュータの「仮想化」への流れとも類似するものだ。10年前には、サーバが利用するデータは、サーバ自体に直接接続したストレージシステムに収められていたものだった。しかし、いくつものストレージが孤立する状態は、利用率の低下につながってしまった。 市場調査会社Enterprise Storage Groupのアナリスト、Brian Babineauによると、この状態ではストレージ資源の利用率が15%から30%だったという。
近年では、ネットワーク接続型のストレージが登場し、いくつかの機器をまとめてさらに大容量なストレージをつくりだせるようになったため、ネットワーク管理者は利用率の改善を狙ってこれらのストレージを切り分けて使えるようになった。SANとNASの利用は1990年代後半以降、50%を超えたとBabineauは述べている。それ以来、いくつもの企業が利用効率を高めるための管理ソフトに目をむけ、またNASゲートウェイの登場も手伝ってストレージの利用率は70%まで高まったという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」