ストレージ市場への進出を続けているネットワーク機器大手の米Cisco Systemsは、ストレージスイッチ用ソフトウェアのアップグレードを発表した。情報共有やデータトラフィックの優先順位付けなどの機能が改善されたという。
Ciscoは18日(米国時間)、ストレージエリアネットワーク(SAN)で使用される同社のMDS 9000スイッチ用の、最新版オペレーティングシステム(OS)を発表した。SANとは、データストレージ用機器の効率的な活用と管理の簡略化を狙って設計された、特別なネットワークを指す。
今回のアップグレードは、顧客にとってさらに管理・拡張しやすく、安全なSANを構築できるようにするのを目的としたものだとCiscoは説明している。
この最新スイッチソフトウェアは、回復力の速い、より大規模なネットワークを構築しようというストレージ業界のトレンドの一環といえると、調査会社米IDCのアナリスト、Richard Villarsは述べている。
Villarによると、Ciscoはストレージ市場で、米McDataや米Brocade Communications Systems、米CNTなどと競合しているという。
CiscoのMDS 9000プロダクトマネジャー、Rajeev Bhardwajによると、組織では、経営資源管理(ERP)などさまざまなアプリケーションを扱うために、SANを物理的に切り離して設定することが多いという。Ciscoは、こうした複数存在するストレージの「島」を、1つのインフラで互いにリンクさせることを売り込んできた。
しかし単一の巨大ストレージネットワークでは、データトラフィックが過剰になるという問題がある。そこでCiscoは、1つのネットワークの中に、それぞれ異なるポリシーを持つ別々のストレージネットワークを構築する「バーチャルSAN」(VSAN)の利用を打ち出している。
Ciscoの新OSの特徴の1つは、バーチャルSAN同士の間のデータルーティング機能だ。Inter-VSAN Routingというこの新機能では、VSANを1つのストレージプールに統合しなくても、異なるVSANにあるサーバ同士がストレージリソースを共有できるようになる、とCiscoは説明している。
また新OSには、「Quality of Service」という名の新機能もある。Ciscoによると、これはCisco MDS 9000のSANが、データの具体的要求に応じてストレージトラフィックを識別・優先できるようにする機能だという。たとえばSANは、オンライン決済処理のような一刻を争うアプリケーションの優先度を上げて処理することが可能となる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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