日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)が1月21日に開催した新春特別セミナーで、ハードベンダー7社の幹部が、「2004年 我が社の製品・販売施策」をテーマに、パソコンを中心とした今年の製品戦略・販売施策についてプレゼンテーションを行った。
昨年はパネルディスカッション形式だったが、今年は各社ごとのプレゼンとなり、少ない時間ながら、各社販売店が多く詰め掛けた参加者に向けて自社の強みをアピールした。
今回プレゼンテーションを行ったのは、アップルコンピュータの原田永幸社長、ソニーマーケティングの木村敬治・業務執行役員常務、東芝の能仲久嗣・執行役員常務デジタルメディアネットワーク社副社長、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)の向井宏之・PC&プリンティングシステム事業部長、NECの津田芳明執行役員常務、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)の馬場真・取締役副社長パーソナルシステムズ事業統括、富士通の伊藤公久・経営執行役パーソナルビジネス本部長の7人。
先陣を切ったアップルコンピュータの原田社長は、「当社もサービス事業を拡大しているが、ハードウェア事業は売り上げのコアになる主軸ビジネス。直販とパートナーを通じた間接販売とをバランス良く手掛けていき、業績拡大につなげていきたい」と語った。
直販では、昨年11月30日にオープンした直販店「アップルストア銀座店」が「1日平均5000人は来店しており、マックに触れていないユーザーにもアピールできている」と好調さを強調。今秋、大阪に設立予定の2号店にも自信を示した。一方、パートナー戦略に関しては、「パートナーが入り込めないような市場にまずは当社の直販部隊がアプローチし、その後にパートナーがビジネス展開しやすいような土壌作りを行っていく」と述べ、パートナーとの連携強化もアピールした。
その後に続いた東芝の能仲常務は、パソコン事業に関して、「東芝は商品化が下手と言われているが今年は違う。オールインワン型ノートブックなどでオンリーワン、ナンバーワン製品を提供していく」と意気込みを語った。そして、 「ライバルはデルとHP」と声高に語り、「愛国主義とは言わないが、2社を倒して国産ベンダーのシェア拡大を図りたい」と意欲を見せた。
これに対し、日本HPの馬場副社長は、「ライバルと言われて光栄だが、ライバルは当社ではなく、直販モデルのデル1社のみ」と参加者に向けてアピール。「当社の好調の要因は、低価格と通年の3倍以上も投資している宣伝・広告展開にあるが、販売店への製品供給体制が軌道に乗ってきたことも要因」とし、パートナーとの協業体制が順調なことを強調、デルとの違いを示した。「現在は案件があふれかえっており、直販だけでは裁ききれない状態。パートナーとは昨年以上に密な協業体制を築き、飛躍の1年にしたい」と語った。
富士通も、昨年11月から企業向けパソコンでコストパフォーマンスに優れた新たな製品ラインアップを揃えたが、伊藤執行役は、「価格は某低価格メーカーと同様の設定をしているが、当社では高品質を掲げており、ノートパソコンに関しては生産革新を積み重ね国内生産にこだわっていきたい」と、価格メリットだけでなく質の向上についても力を注いでいく姿勢を示した。
一方、ソニーマーケティングの木村常務は、コンシューマー向けパソコン事業を中心に語り、「HDDの大容量化やCPUの処理速度の向上、通信環境の変化のなかで、コンテンツの楽しみ方が多様化している。パソコンと家電の境界線がなくなってきている」と指摘し、パソコンにも新たな価値の創造が必要なことを強調した。「新しいパソコンの在り方を追求し、付加価値の高いパソコンを開発していく。変化が激しい時代だからこそ新しい商品が生まれる。新市場創出に向けて販売店とともにチャレンジしていきたい」と締めくくった。
日本IBMの向井事業部長は、「価値の高い製品をいかにタイムリーに市場にプッシュできるかがカギになる」とし、「『マーケットイン』でも『プロダクトアウト』でもなく、ユーザーの声を基にしたバリューを創出し、タイミング良く提供していく『マーケットインwithプロダクトアウト』戦略を推進していく」と話した。
パソコンの単価下落については、「今後も製品の価格が上がることは考えづらい。だが、サービスやオプションで単価を上げることは可能であり、IBMはそのために知恵を絞り、パートナーが利益を確保できる仕組みを作る」と訴えた。
NECの津田常務は、「パートナー同士のコラボレーションが重要」とし、「VoIPに代表されるように通信とITの融合が強まってくる。そのなかで、ITに強いパートナーとネットワークに強いパートナーとのコラボレーションで新たなビジネスチャンスをパートナー同士がつかむ可能性が出てくる。当社はこれを手助けしていく」と話した。
「パートナーには単なる製品提供だけでなく、パートナーの経営基盤の強化、人材育成、ユーザーからの支持率の向上、ISOなどの認証取得支援など、あらゆる分野で支援活動を積極化していく」と続けた。
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