昨年、IAサーバであるProLiantの二極化戦略を発表した日本ヒューレット・パッカード(HP)。付加価値のあるバリュービジネスと、価格を重視するボリュームビジネスという二極化するビジネス領域に対し、それぞれニーズに合った製品を提供するというものだが、同戦略の発表からちょうど1年後となる1月8日、同社はボリュームビジネス領域の製品として、データ処理性能に特化した価格性能比の高いProLiant 100シリーズを発表した。
現在IA-32サーバの市場は、CPUパワーが向上していることから1ウェイおよび2ウェイモデルの需要が高まっており、2003年はサーバ市場全体の97%以上を占めているという。特にグリッドコンピューティングやHigh Performance Technical Computing(HPTC)などで使用するための大量導入や、価格性能比を重視する顧客ニーズに応えるために開発されたのが、今回発表されたProLiant 100シリーズだ。その第1弾製品としてHPは、Intel Xeonプロセッサを最大2基搭載できるラックマウント型サーバProLiant DL140を発表、9日より受注開始し、15日より出荷を開始する。
日本HPエンタープライズストレージ・サーバ統括本部インダストリスタンダードサーバ製品本部本部長、上原宏氏 | |
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同社エンタープライズストレージ・サーバ統括本部インダストリスタンダードサーバ製品本部本部長の上原宏氏によると、ProLiant DL140がターゲットとする市場は、「低コストでハイパフォーマンスなコンピューティング環境の実現を目指すあらゆる分野と、中規模以上の企業での一般用途」だとしている。販売チャネルはHPのオンラインストア、コールセンター、CTO(注文仕様生産)製品の販売代理店などで、CTOモデルを採用する。上原氏は、「ウェブを活用することで、見積りから受注までのスピードが向上する。またコールセンターではきめ細やかな顧客サポートが可能だ。注文仕様の製品が正式受注から標準5営業日で納品できるので、顧客満足度を向上させることができる」としている。
日本HPの2004年IAサーバビジネスにおける基本戦略は4つ。それは、柔軟性のある価格形態を導入すること、サーバ出荷の際に設置や配線までを行うファクトリー・インテグレーション・デリバリ・モデルを推進すること、IAサーバ製品のラインナップを強化すること、そして価格性能比の高いCTOモデルを投入し、顧客の選択枠を広げることだ。これらはすでに新製品のProLiant DL140でも採用されているが、さらに同社は今回柔軟性のある価格形態を示すため、既存のProLiantサーバ本体20モデルを最大20%、オプション製品35モデルを最大17%価格改定するとしている。
昨年より何度も価格改定を行っているHPだが、同社代表取締役社長の樋口泰行氏は「本音を言うとできれば価格を下げたくはない」としながらも、「ProLiantは高価だというイメージがあるようだ。高価でも付加価値のあるものを提供すればそれでいいと考えていたが、やはり顧客の声を聞くと価格は製品選択の際の重要事項であることがわかった」としている。ただ、「利益を削って価格改定を行っているわけではない。コンポーネントの価格が下がっていることに加え、合併後のフォローアップも完了し、営業拠点、ITインフラ、業務プロセスなどの統合でコスト削減が実現できた。それを顧客に還元しているにすぎない」と価格改定が可能な理由を説明した。
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