ストレージ専門ベンダーの米EMCは15日(米国時間)、米VMwareを約6億3500万ドルの現金で買収する計画を発表した。VMwareはサーバに柔軟性を持たせるソフトウェアを販売する新興企業。
マサチューセッツ州ホプキントンに本社を置くEMCによると、この買収はユーティリティコンピューティング業界への同社の一層の浸透に役立つことになるという。ユーティリティコンピューティングは、企業各社が情報技術に関する管理の簡略化と利用の効率化を実現する手段を模索する中で業界を席巻しているトレンドである。
しかし、VMwareとEMCは得意分野が異なる。EMCがストレージシステムやデータ管理ソフトウェアを得意とするのに対し、VMwareはサーバ向けのソフトウェアを得意としている。
調査会社米Illuminataのアナリスト、Gordon Haffは、「EMCにとって、この買収はこれまで得意でなかった分野への進出の足がかりになる。VMwareの製品の多くは、サーバ向けのもの。従来の大型ストレージ装置を考えると、明らかに大きな変化だ」と語った。
だが、EMCの最高経営責任者(CEO)、Joe Tucciによると、ストレージとサーバを区別することは過去の話となりつつあるという。同氏は声明の中で、「これまでは、サーバとストレージの仮想化は異種のものとして存在していた。だがこれからは、EMCがこれら2つの世界のコンバージェンスを加速していく」としている。
同社は声明の中で、EMCがさまざまなメーカーの情報技術を「ストレージやコンピューティングのリソースが集まった一カ所」にまとめる上で、この仮想化の技術が役立つだろう、と述べている。
VMwareのソフトウェアは、1台のサーバが複数のオペレーティングシステムを異なる「バーチャルマシン」上で同時に運用できるようにしてくれる。この技術は、高価なメインフレームコンピュータでは充分発展し、またUnixサーバでも成熟しつつある。そして、いまIntelプロセッサ搭載の低価格マシンでも利用され始めたところだ。
カリフォルニア州パロアルトに本社を置くVMwareはすでに利益をあげており、株式公開を計画していた。
今回の買収は、2004年の第1四半期前半に完了する見込みで、これが実現すると現在成長中のIntelベースのサーバ市場における提携関係を変えてしまう可能性がある。VMwareは米IBMや米Hewlett-Packard(HP)と近い関係にあり、米Dellや米Unisysとも提携している。
IBMやHPが、中立の新興企業であったVMwareとの間に築いた良好な関係は、ストレージ分野で競合するEMCには引き継がれないかもしれないと、Haffは語っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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