ストレージシステムメーカーの米EMCは8日(米国時間)、ストレージソフトウェア市場における勢力範囲を広げるため、米Legato Systemsを13億ドル相当の株式交換で買収すると発表した。
EMCによるこの買収の目的は、Legatoのストレージ管理ソフトウェアである。EMCは自社のストレージシステム管理アプリケーションを拡充するため、数々の買収契約をまとめてきており、今回のLegato買収はその最新のものとなる。EMCは4月にも、Astrum Softwareを買収し、同社のストレージ管理ソフトを手に入れている。
ストレージ管理ソフトウェアは、EMC製ハードウェアを購入した企業が大量のデータを扱いやすくするためのもので、EMCが米Hewlett-Packard(HP)や日立、米IBM、米Sun Microsystemsなど競合ストレージ企業との差別化を図る上で、重要なポイントとなっている。
ストレージのハードウェアは、データ容量の増加や機能故障防止コンポーネントの強化などで改善が可能であるいっぽう、さまざまな種類のハードウェアを連動させたり、データへのアクセスを容易にしたりする管理ソフトのほうが、顧客を惹きつけることが多い。企業にとってはストレージへの投資の見返りが得やすくなるからだ。
Legatoの製品には、企業がメールなどのデータをアーカイブできるようにする、バックアップおよび復旧アプリケーションが含まれる。
「Legatoの製品は、わが社に欠けているデータ管理分野のギャップを埋め、ストレージ市場の他の分野におけるわが社の影響力を大いに高めてくれる」と、EMCの最高経営責任者(CEO)Joe Tucciは、8日に行われた電話会議のなかで述べた。
Tucciは、顧客が「パーツや断片」で構築されるシステムに興味を失っているという自らの考えを示し、EMCはLegatoと共同で、両社の製品を1つのアーキテクチャに統合していくと語った。しかし、Legatoの販売部門は今後も独立したまま、EMCと協力していくという。Tucciは、Legato販売部門とEMCとのこの関係を、IBMと、IBMのネットワーク管理ソフトウェアグループの関係構造になぞらえ、「Tivoliモデル」と説明した。
業界アナリストらは、今回の発表に概ね肯定的だ。米GartnerのアナリストRay Paquetは、ストレージ業界では、Legatoほど見事にEMCを補える企業は他にないと述べている。
「売上の点から言えば、EMCは今回の買収で、バックアップ部門では対象外だったものが、一気に第3位に踊り出る。しかしながら、合併後の同社が、同部門首位の米Veritas Softwareを追い抜くのは容易ではないだろう--ただし、第2位のIBMに近づいたり、市場から利益を奪うことはできるかもしれない」(Paquet)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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