米IBMは、同社のオンデマンドコンピューティング構想の一環として、サーバやデータストレージデバイスを接続して情報アクセスや管理を改善する製品を11月中頃に出荷すると、米国時間13日に発表した。
11月14日に発表予定のこのソフトウェア製品は、「Storage Tank」というIBM調査プロジェクトから生まれたもので、正式には「IBM TotalStorage SAN File System」と呼ばれる。Storage Area Networksの略語であるSANは、大企業がデータを保管する際によく使用する、ストレージデバイスを接続したネットワークを指す。
IBMによれば、 SAN File Systemは、複数の場所にあるサーバをIPネットワークを通して接続し、このような分散型ストレージネットワークがローカルファイルのように表示され、動作することを可能にすることで機能するという。この場合、データが存在する場所や、使用されるOSは問題にならない。ソフトウェアは、ファイルの実際のコンテンツに付随する記述的情報、つまり物理的位置、ファイルサイズやアクセス権限のような「メタデータ」を追跡する、とIBMでは説明している。
SAN File Systemソフトウェアは、専用のメタデータサーバで起動する。さらに、このシステムを使用する他のサーバにもソフトウェアをインストールする必要がある。IBMによれば、SANファイルシステム製品の価格は、2基のメタデータサーバを含む基本的な構成のもので、9万ドルになるという。
調査会社IDCアナリストのJohn McArthurは、 SAN File Systemによって企業はこれまでよりも簡単に情報を共有できるようになるはずだ、と述べている。目下のところ、企業は同じデータをさまざまな目的で使用できるように、その複製を作成している。たとえば、SAPのビジネス管理アプリケーションを実行している企業は、日常業務で使用するためのコピーと、追加のアプリケーションを開発する際に使用するコピー、さらに新しいビジネスチャンスを追求するためのデータマイニング用コピーが必要になってくるかもしれない、と同氏は説明した。
ただし、スナップショットコピーを作成するためには、システムを一時的に停止しなければならない。 SAN File Systemは、複数のサーバが同じデータにアクセスできるようにすることで、コピー作成の必要性を最小限に抑えると、同氏は指摘。「これはあなどれない」(McArthur)。
IBMは、 SAN File Systemのもう一つの利点として、大量のデータを処理できることを挙げた。同社によれば、同製品はペタバイトのデータを扱うことができるという。ちなみにペタバイトの情報量は、CD150万枚分に相当する。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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