米IBMの幹部は米国時間29日、ハードウェアからソフトウェアへ焦点が移行しつつあるストレージ業界の動きを裏付けるように、ソフトウェアが業界の様相を塗り替え、さらに同社では今後も引き続き戦略的重点分野として、この分野に注力していくと語った。
IBMのストレージシステム部門のゼネラルマネジャー、Dan Colbyは、同社主催のカンファレンスで、「われわれの業界ではソフトウェアが新たな戦場になりつつある。システムの利用率が低く、管理コストが高すぎ、さらに異なるベンダーのシステムが思うようには連動してくれない。だが舞台の準備は整っており、われわれは顧客にとって非常に重要なこれらの問題に、他のどこよりも先に取り組んでいくつもりだ」と語った。
Colbyは 複数のシステム内に格納されたデータを、一カ所に存在する情報であるかのように見せ、またそのように動作させる、ストレージの「仮想化」ソフトウェア開発に対する同社の取り組みを紹介した。さらに同氏は、いわゆる「reference data」に対して、IBMが新たに注目していることも明らかにしたが、このreference dataとは電子メール、デジタルメディア、Webコンテンツといった情報で一度つくられたものを、後に繰り返して参照することを指している。調査会社のEnterprise Storage Groupが昨年実施した調査では、デジタル化されたreference dataの量が年間92%の伸びを見せているのに対し、それ以外のデータの伸びは61%であることがわかった。
ストレージ業界はデータストレージシステムの管理改善に向けてソフトウェアを重視する方向にある。このような傾向を示す兆候としては、ストレージ用ハードウェアベンダーの米EMCが今月発表したストレージ用ソフトウェア開発の米Legato Systems買収や、米Veritas Softwareの好調な四半期決算などがある。ストレージ管理ソフトウェアを開発するVeritasは、6月30日締めの四半期で4億1300万ドルという売上高の新記録を達成し、アナリストの予想利益の平均を大幅に上回った。
IBMではこれまでに、「TotalStorage Storage Area Network(SAN)Volume Controller」と「TotalStorage SAN Integration Server」という仮想化ソフトウェアを含む、2種類のストレージ製品をリリースしている。SAN Volume Controllerは、一般に大企業で使われている、リンクされたストレージ機器であるSANを既に保有する顧客がターゲットで、一方のSAN Integration Serverは初めてSANを実装する顧客や、SANの効率的な追加実装を望む既存のSAN利用企業をターゲットとしている。
またIBMによると、「SAN File System」という3つ目の仮想化製品は、今年後半に発売されるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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