サンフランシスコ発−米Sun Microsystemsの最高経営責任者(CEO)であるScott McNealyは、米Oracleのユーザーカンファレンス「OracleWorld」に集まった何千人もの聴衆を前にして、企業のコンピュータシステムが過剰に作り込まれていると、これをたしなめた。
「誰もが、おんぼろのシステムを我流で構築し続けている」と、McNealyは9日(米国時間)に行ったOracle Worldでの基調講演の中で語った。
同氏の見解によれば、IT業界は80社に上る別々のサプライヤから提供されるコンポーネントを使って、各企業が独自にデータセンターを組み立てるモデルから離れ、少しずつ発展を続けているという。将来は、ほとんどの企業があらかじめ組み立ての済んだ標準化されたシステムを購入するか、もしくは借り受けることになり、いわゆる社内のIT部門は縮小化の傾向をたどるという。
「この業界は複雑過ぎる」とMcNealy。「多くのIT技術者は、我々が製品に組み込みたいと考える機能をつくってくる。そのために(ITは)あまりに高くつくものとなっている」(McNealy)
OS、アプリケーションサーバ、ネットワークスイッチ、その他諸々のコンポーネットに対するIT業界のこだわり方は正気の沙汰ではないと、McNealyはいう。「(車の部品の)ピストンリングをテーブルの上に放り出し、それで『L.A.まで運転していけ』というようなものだ」とMcNealyは語った。
SunとOracleは、非常に近しい同盟関係にあり、Sunのサーバ上で動作するOracleデータベースシステムを販売し、共に利益をあげてきている。共通のビジョンとともに、両社には共通の敵が複数いると、McNealyも認めている。両社は、米IBMや米Microsoftと激しい戦いを繰り広げている。加えて、Sunがサーバ市場でDellに、またOracleがデータベース市場でMicrosoftに、それぞれ市場シェアを侵食されている点でも両社は共通している。
McNealyはまた、OracleWorldのテーマであるグリッドコンピューティングの話題に合わせて、より多くの企業がIT部門の完全外注化を行い、またITサプライヤーは、共有するコンピューティング・インフラ(あるいはグリッド)を使って、ITをもっと効率的に運用する方法を見つけるというアイデアを打ち出した。
Sunでは、「N1」と呼ばれるこうしたユーティリティ技術を発展させ、またOracleはデータベースとアプリケーションサーバをホスティングするOracle Outsourcingを提供する。
McNealyは、そのようなIT導入と提供における変化が、業界全体の大きなシフトなのだという。同氏はそれを、人々がかつて自分で乗るためにカスタマイズした飛行機を構築するのではなく、航空会社のとばす飛行機の中に座席を購入する様子に喩えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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