サン・マイクロシステムズは27日、昨年発表した次世代データセンター構想「N1」の現状とロードマップの更新、および日本における戦略についての説明会を実施した。
N1は、サーバ、ストレージ、ソフトウェア、ネットワークなど、分散されたコンピューティング資源を統合し、効率よく情報システムを運用管理するためのアーキテクチャ。複雑な技術管理が自動化されるため、管理者に負担をかけずにデータセンターの稼働率と効率を高めることが可能となる。
N1構想は、2002年2月に米国にて最初に発表された。その後9月には具体的なアーキテクチャとロードマップを正式に発表、同時にストレージ仮想化技術を提供するPirus Networksの買収も発表している。11月にはソフトウェア企業のTerraspringを買収し、先月10日同社のインフラプロビジョニングや物理リソースの仮想化技術などを組み込んだブレードサーバ、N1 Provisioning Server 3.0 Blades Editionを米国にて発表している。
サンのN1構想
全世界同時展開でN1への取り組みを進めているサンだが、日本においては独自の課題があるという。N1における仮想化やプロビジョニングに対する理解がまだ日本では一般的に浸透していないこと、また日本のベンダー製品との連携や、マルチベンダー環境における日本語環境への対応などだ。これらの対策として、サンでは25名からなるN1タスクフォースを今年1月に結成、ビジネス戦略の策定やパートナーとのアライアンスの確立、N1検証センターの設立などに注力している。
グリッドコンピューティングへの取り組みも
サン・マイクロシステムズ株式会社データセンター・ソリューション事業本部本部長山本恭典氏 |
今回の説明会でサンは、同社のグリッドコンピューティングへの取り組みについても述べている。説明にあたったインフラストラクチャー・ソリューション事業統括本部データセンター・ソリューション事業本部本部長の山本恭典氏によると、サンではグリッドコンピューティングをセキュリティ面から3分割して考えているという。1つ目は社内の同部署内で主にCUPやメモリーなどのコンピューティング資源を共有するクラスターグリッド、2つ目は部署間でポリシーやセキュリティレベルを策定した上で資源の共有を実現するエンタープライズグリッド、そして現在一般的な概念として普及しているグローバルグリッド、つまりインターネットを通じて全世界に点在するコンピュータを共有するという考えだ。山本氏によると、クラスターグリッドとエンタープライズグリッドについては既にサン社内でも実現しているというが、グローバルグリッドについては、「理想ではあるが、現時点ではテクノロジーの面とメンタルな面での問題があり難しいだろう」と述べている。
また、サンとIBMの取り組みの違いについて同氏は、「IBMはOGSA(Open Grid Services Architecture)の方向性に基づきコアな技術となる周りの部分、つまりマネジメントやソリューションといったものを固めつつあるが、実際にOGSAが実現するまでにはあと数年はかかる。それまでにサンではプロビジョニングや仮想化といった実際のコアな技術の部分を固めていきたい」と語っている。
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