米Oracleは今週、これまでよりはるかに効率的かつ経済的に企業の計算処理能力を高める新しい手法として、米IBMや米Microsoftなどの競合企業が以前から大々的に宣伝してきたグリッドコンピューティングの注目度をさらに引き上げている。
サンフランシスコで米国時間8日に開幕したOracleWorldカスタマーカンファレンスでは、グリッドが大きなテーマとなっている。Oracleの幹部は、グリッドコンピューティングをインターネットの登場以来ビジネスにとって最も重要な新技術だとし、同社ではグリッドのコンセプトを核に準備を進めている多数の新しいデータベースや関連ソフトウェア製品で、10年に1度の革新的な技術上の飛躍を遂げようとしていると述べた。
Oracleの執行副社長、Chuck Phillipsはこの日、同カンファレンスに集まった数千人の聴衆を前に、「今回のOracleWorldは、我々や業界全体にとって、エンタープライズ向けグリッドコンピューティング時代の到来を告げる節目となるイベントだ」と語り、上司である最高経営責任者(CEO)のLarry Ellisonが、9日に行う基調講演のなかで、同社のグリッドコンピューティングへの取り組みを正式に開始させるとも語った。
Phillipsによると、Oracleは「10G」と呼ばれる新しいグリッドコンピューティング製品ラインを年末頃にリリースするという。同製品のベータ版は数百社の顧客が既にテストを開始している。
OracleやIBMなどでは、グリッドコンピューティングの魅力は、データセンターの運用コストを引き下げることで、企業がコストを削減できる点だとしている。今日のコンピュータは、プロセッサがクレジットカード処理システムなどの業務アプリケーションから処理データが流れてくるのを待ち続けるなど、処理を行なっていないアイドル状態が多い。
グリッドの世界では、数百台ものサーバやデータベースで生じるアイドル状態をひとつにまとめて、別々の時刻に、異なるアプリケーションに割り当て、その時々で最も処理能力を必要とするシステムの要求に合うようダイナミックに調節が行われる。したがって、小売業者の支払処理システムなどには繁忙を極める感謝祭の翌日に、通常より多くのグリッド処理能力を割り当てるといったことが可能になる。その結果、企業がこれまでより少ない数のマシンと専任担当者で計算処理のニーズに対応できるようになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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