「Leopard」対「Vista」--子どものネット利用管理をめぐる戦いの勝者は・・・保護者

文:Stefanie Olsen(CNET News.com) 翻訳校正:矢倉美登里、中村智恵子、小林理子2007年11月23日 09時06分

 子どものオンライン利用を制限する管理機能をめぐって、Appleの「Mac OS X Leopard」と、発売されてから1年になるMicrosoftの「Microsoft Windows Vista」が火花を散らしているが、この対決の明らかな勝者は保護者だ。

 米国時間10月26日に最新OS、Leopardを発表した際、Appleは、子どものコンピュータ利用を管理する卓越した機能を搭載して、同社としては初めて大々的に保護者に向けてアピールした。これらの設定機能を利用すれば、親は子どものオンライン時間を管理したり、特定のウェブサイトやインスタントチャット、「iTunes」といった特定のアプリケーションを利用できないようにしたり、保護者がそばにいないときの子どもの利用実態や通信相手を監視したりすることができる。

 Appleは、Vistaが提供している保護者による制限機能に追いつこうと躍起だった。Microsoftはこれをすでに1月に発表していたからだ。Vistaも、Leopardに負けずとも劣らないきめ細かい機能を備えており、Microsoftは、保護者による子どものコンピュータ管理機能市場に例のない大々的な進出を果たした。保護者管理の推進派の人々が、Vista購入の決め手はこの管理機能にあると言うほどだ。そして今、AppleもMicrosoftと同じ土俵に立った。

 「保護者向けの管理機能での競い合いは、全面的に消費者の利益になる。現在では、親が子どものコンピュータ利用を適正に管理しないでいることの言い訳はできなくなっている」と調査会社NPD Groupのソフトウェア業界分析担当ディレクター、Chris Swenson氏は指摘する。

 特に、より低い年齢からオンラインを体験しはじめる子どもが増えているため、保護者が子どものコンピュータ利用を管理する技術に、これまで以上に神経を使っているのは明らかだ。NPDがAmazon.comやBestBuyなどの大手小売業者の売り上げを調査したデータによると、ペアレンタルコントロールソフトウェアの米国における小売り売り上げは2007年当初からの9カ月で、2006年の同時期と比較して47.3%上昇したという。売り上げの上位を占めているのは、Enteractive、Microforum、ContentWatchなどの製品だ。

 AppleもMicrosoftも、どのくらいの顧客がこの管理機能を利用しているかの数値は把握していないが、この機能がホリデーシーズンにおけるLeopardとVistaのセールスポイントになることは十分にありうるとアナリストは語る。AppleはLeopardが販売された最初の週末に200万本を売り上げ、前製品「Tiger」の記録を抜いた。一方、MicrosoftのVistaは8800万本を販売している。

 ペアレンタルコントロール製品の売り上げが米国で増加しているにもかかわらず、保護者のなかにはそうしたソフトウェアを購入したものの使いこなせなかったり、きちんとインストールする時間がなかったりする人々もいると、アナリストや保護者管理の推進派はいう。だからこそ、OSソフトウェアの使い方はきわめて簡単で効果的なものでなければならないと、専門家は口を揃える。VistaもAppleもこれまでのところこれを証明している。非常に多くの親たちがこのプレインストール版でコンピュータをアップグレードしはじめており、コンピュータにおけるペアレンタルコントロールは本流への道を歩みはじめているのだろうと専門家は言う。

 「OSレベルでの保護者管理は家庭のコンピュータには最適な方法だ。保護者にとっては(管理の度合いなどの)選択肢も多く、シームレスに利用できる。システムをクラッシュさせたりしないかと心配しながら何かをインストールするよりずっといい」と、保護者と子どもの安全を目的としたコミュニティーサイトConnectSafelyの共同ディレクターAnne Collier氏は語った。

 機能別に見ると、時間設定、サイトやアプリケーションをブロックする各種レベル、ログアクティビティファイルなど、VistaとLeopardは同等の勝負をしている。しかしオンラインゲームやコンピュータゲームをする子どもを持つ保護者のためには、Vistaのほうが、より詳細にゲーム管理ができる機能を提供している。非営利の業界団体である、エンターテインメントソフトウェア審査機構(Entertainment Software Rating Board:ESRB)によるゲーム対象年齢やコンテンツの適正ランキングへの対応も含めた設定ができる。たとえば、5才の息子をもつ親ならば「年少期」用ゲームのみで遊べるようにできる。

 「これは明らかにVistaの強みだ。家族でランキングシステムのあるゲームに利用するので、保護者はそれ(子どもの年齢やコンテンツの適正レート)にあわせてゲームをブロックできる」と、Windows製品マネージャーTom Laemmel氏は語った。この制限機能は先ごろ、Microsoftの「Xbox」にも組み込まれた。

 しかし、ユーザーインターフェースという点ではAppleのコントロールは明確で簡単に仕上がっている。保護者は3つのタブとワンクリックのオプションだけで子どものホームページ設定ができるため、幼い子どもでも簡単にコンピュータが使えるようにできる。Leopardにはいつ、そしてどの程度の時間子どもがコンピュータを使えるかを設定するためのドロップダウンメニューがある。一方、MicrosoftのVistaではカレンダー表で時間設定をする。

 加えて、AppleのLeopardでの設定は、保護者が子どものコンピュータを自らのコンピュータから管理できる新たな機能があり、これはVistaにはない。

 「非常に使いやすいうえ、保護者が使いかたを決定し、Macによって子どもにさせたいと考える体験を柔軟に作り出せる、豊富なペアレンタルコントロール機能がわれわれにはある」とMac OSの上級製品ラインマネージャーChris Bourdon氏は述べている。

 MicrosoftのLaemmel氏は、同社はビジネス分野でのリモート管理機能では優れたものを持っているが、家庭用には必要ないものだという。

 「家庭環境においては明快な技術が求められている。IT専門家がいないと手に負えないような機能は欲しくないだろう」と、Laemmel氏は語った。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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