最後に、オンラインでここ数年の間に起こった企業の被害や技術的な障害の一部をリストアップしてみよう。この分野だけでも50項目は挙げられそうだが、最近の出来事の中から大きな5つを選んでみた。
2005年に音楽CD会社であるSony BMG Music Entertainment社は、悪気のない誠実なユーザーとの戦いの一環として、特定のCDアルバムをコンピュータ上で再生したときにCDのコピーを禁止するマルウェアがこっそりと顧客のPCにインストールされるようにした。このソフトウェアは技術的にはrootkitと呼ばれるもので、通常は保護されていないマシンを乗っ取ることを目的にハッカーが使用する。マルウェアのインストールは150カ国に広がり、少なくとも50万台のコンピュータが悪意ある攻撃に対して脆弱性を有したままとなった。
もし、皆さんが2006年8月時点でAOLユーザーで、首なし死体の画像や配偶者を殺す方法などを検索していたとしたら、AOL側のミスによって、それらの検索データ、検索ターム、訪問サイトなどの個人的な情報が公開されてしまった65万人の1人になっていたかもしれない。多くのウェブユーザーにとって個人を特定する情報源となる可能性も指摘された。
歴史上の過ちの中でとても皮肉なものの1つとして、Appleが契約したiPodの製造会社が誤ってビデオiPodにWindowsのウィルスを混入させたまま出荷してしまった事件が挙げられる。RavMonEと呼ばれるバックドア型トロイの木馬で、Macユーザーにはなんらリスクを与えない。Appleはリリースの中で、2006年9月12日以降に組み立てられたiPodの1%未満が影響を受けたと発表した。
2007年に、Viacom社はDMCA(デジタルミレニアム著作権法)を根拠に、ウェブ上の面白い動画に焦点をあてたVH1の番組「Web Junk 2.0」の一部を収めたビデオクリップを削除するようYouTubeに要請した。問題は、Viacomがやり玉に挙げたビデオクリップは、そのクリップをアップしたユーザーが制作したYouTubeビデオを取り上げた内容となっていたという点だ。Viacomは自社の番組内でその動画を利用する際に作者に対して許可を求めていなかった一方で、番組の一部をYouTubeにアップロードしている点に対しては削除要請が正当化されると考えたのである。ダブルスタンダードよりもおかしなことになった。
英国のSussex警察は防犯のポイントをまとめたチラシを地域に何百枚と配布したが、肝心の警察署のドメイン名を誤って記載してしまい、チラシを見てアクセスした住民は警察官をテーマにしたゲイサイトを見てしまうことになった。正しいリンクはwww.sussex.police.ukであるのに、誰もがちょっとはのぞいてみたいと思うようなゲイ警官の動画「Truncheon Meat」を取り上げているwww.sussexpolice.co.ukと印刷してしまったのだ。2003年には、CNET UKの姉妹サイトであるZDNet UKが、署内のコンピュータがコンピュータワームに感染したことを取り上げて、Sussex警察の技術的な誤りを指摘したこともある。
第6章へ続く(隔週で公開します)。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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