映画について意見を交換しようと、あるいは、ソフトウェアについて相談しようと、インターネットは人と人とが接するソーシャルな場の1つであることには変わりはない。このセクションでは、ネットワークの開発に伴って対話の面で発生した重要な出来事を取り上げる。
Usenetは現在のオンラインチャットサービスが登場する以前から存在し、今でもある。いわば最初のPtoPシステムともいえるUsenetは、かつても今も、巨大なディスカッションサービスの1つであり、世界中で使われているウェブベースの掲示板やIRC(Internet Relay Chat)アプリケーションの先駆的存在だ。
掲示板がかつて「会議場」などと呼ばれていた時代から、The Wellは20年以上にわたって知的な社交場であり、かつ、知的なディベートの中心的存在だった。世界中のあらゆる階層から、オタク、未来派、哲学者、さらには議論好きを引き付けたThe Wellは、最初はBBSとして誕生したが、現在ではウェブで控え目なコミュニティーを運営している。特筆すべきは、電子フロンティア財団(EFF)の創設者たちがこのサービスを通じて出会ったこと、そしてThe Wellが全盛期には敬意を集める影響力の大きいコミュニティーだったことである。
フィンランドのオウル大学で情報処理科学科の職員だったJarkko Oikarinen氏は、リアルタイムでチャットができるようにするために、普及していたBBSシステムを拡張してIRCクライアントを開発した。IRCは1年もしないうちに世界中の40台のサーバで実行されるようになった。
Skypeが最初のクライアントをリリースする10年近く前に、VovalTec Communicationsというイスラエルの企業がInternet Phoneをリリースした。このソフトウェアは、デスクトップコンピュータで動作する世界初の商用VoIPアプリケーションとみなされている。当時使用されていたのは不安定なダイアルアップモデムだけだったが、Internet Phoneは低速接続とパケット消失に対応できたこともあり、VoIPをメインストリームへと導く最初の役割を担った。
ICQは、コンピュータ端末を介したリアルタイムチャットの最初の具体例ではないものの、GUI上で動作する世界初のグローバルなインスタントメッセージ(IM)クライアントであり、1990年代後半に爆発的に広まった。ICQはやはりイスラエルのMirabilisという別の企業によって開発された。1998年に、AOLはすでにAOL Instant MessengerというIMサービスを提供していたにもかかわらず、4億ドルを少し超える金額でMirabilisを買収した。
第3章へ続く(隔週で公開します)。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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