iPod課金はありか、なしか

2008年5月12日 19時00分

 文化庁が「私的録音録画小委員会」の第2回会合を開催し、iPodなどの携帯音楽プレイヤーや、ハードディスクレコーダーにまで、私的録音録画補償金制度を適用すべきであるという考え方を示しました。これはいわゆる「iPod課金」と呼ばれるもので、デジタル録音機器の販売額に一定の補償金を上乗せするとことで、著作権権利者への利益還元を図るのが目的です。

 もともと著作権法では、私的使用を目的とした個人での複製は認められていましたが、1992年の著作権法改正に伴って、音質が劣化しないデジタル方式で録音、録画する場合には、一定の割合で補償金を徴収するようになっていました。

 今回の文化庁の提案に対して、メーカー側は反発していますが、著作権権利者側は評価しています。iPod課金について、パネリストの皆さんの意見を聞かせてください。


  • 江島健太郎
    江島健太郎さん (エンジニア、アントレプレナー)
    「パソコンや携帯電話など録音録画を含めて複数の機能を有する汎用機器については、主要用途が録音録画に限定できないことから、現状では対象から外すべきだと明言されている。」

    とありますが、肝心のアップルはというと利益率の低い単機能の音楽プレイヤーとしてのiPodから、より汎用のコンピューティングデバイスとしてのiPod touchやiPhoneへの重心移行を指向しています。

    イノベーションの最先端であり今後どのように進化していくか予見することが難しいiPod touchやiPhoneは対象外である、という点を明記したことについては(という理解でよいのですよね?)、一定の評価ができると思います。逆にいうと、ここは絶対に譲れないラインでしょう。

    こと視点を音楽だけに限るならば、音楽制作者と音楽再生機とはお互いに相手がなくては生きていけない依存関係にあるでしょうから、利益配分はお互い納得のいく形に合意できればそれでよいのだと思います。枯れた技術・安定した市場から年貢をとるのは、利益の再配分の直接的な方法としてはアリかなとは思っています。ただし、その再配分の必要性・シェアの妥当性については私には判断がつきませんので、あくまで一般論として。

    しかし、最後にもう一度繰り返しておきますが、最先端のイノベーションが起きている領域、今後の変化が予想しにくい領域には、そういった利益構造の固定化を強いるような仕組みは一切設けてはいけない、ということは強調しておきたいと思います。

    2008-05-13 04:34:19

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