IT・音楽ジャーナリストの津田大介氏や法政大学社会学部准教授の白田秀彰氏、AV機器評論家・コラムニストの小寺信良氏ら11人は10月18日、「インターネット先進ユーザーの会(Movements for Internet Active Users:MiAU)」を設立した。
MiAUはネットワーク上での活動の自由やその主張の擁護をするための任意団体だ。インターネットやデジタル機器に関する正確な知識や情報の提供を行うほか、インターネットなどの利用が古い制度によって制限されず、利用者の創造的な活動が発展するように、パブリックコメントの提出など通じて制度の維持変革を提言していくほか、インターネット利用者のリテラシー向上を啓蒙することを目指す。当面は任意団体として活動するが、来年度にも独立した社団法人や有限責任中間法人に発展させることも検討する。
具体的な活動は以下のとおり。
MIAUではまず、文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会の中間整理に盛り込まれている著作権法第30条の改正案、つまり私的使用のための複製の範囲から、違法録音録画物および違法サイトからの私的録音録画を除外。違法サイトからのコンテンツダウンロード違法化するという方針について反対意見を表明し、パブリックコメントの意見提出などを実施する。
また、地上デジタル放送録画番組の録画仕様である「コピーワンス」および、今後運用が利用されている、1番組9回までのコピー、10回目でのムーブという新方式「ダビング10」に対しても反対意見表明を行うほか、現在文化庁文化審議会で討論されている著作権の保護期間を死後50年から70年へ延長するという意見に対しての反対表明を行っていく。また、インターネットユーザーがパブリックコメントの提出を行うためのサポートなども予定する。
発起人の1人である津田氏は、ITによって情報の受け手だった人が情報の送り手になり、文化的に非常に豊かな環境を生み出した一方で、プライバシー侵害や誹謗中傷、著作権侵害が起こっていると説明。しかし、そういった問題に対し法制度の規制強化という方向でしか対応が進まない点を懸念し、「本来、社会的な環境やリテラシーと照らし合わせ、規制と自由のバランスを探るべきだが実現していない。そこで、ネットワークの自由を主張し、擁護する組織的な主体としてMiAUを立ち上げた」と設立の経緯を語る。
同じく発起人の小寺氏は、「我々はインターネットユーザーの代表ではなく代弁者。今後はインターネット上で実名を出していない、アイデンティティをもたなかったユーザーの意見なども吸い上げ、アウトプットしていく」と語る。MiAUでは活動内容に関する意見をユーザーから集約するためのシステムや、技術資料などをサイト上でも提供していく考えであると説明した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス