ハイパーインターネッツが運営するクラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」を使った、漫画家うめ氏によるジョブズ漫画の続編制作プロジェクトの支援者限定トークイベントが4月6日に都内で開催された。
CAMPFIREは、クリエイターが作品の制作資金をネット経由でファンから募るクラウドファンディングサービスで、これまでにも数百万円規模の支援プロジェクトを実現させた実績を持つ。今回のプロジェクトは、Appleの共同設立者をモデルにしたその内容が「リアルAppleストーリー」と判断され、iPhoneアプリがAppleからリジェクトされた経緯を持つ漫画「スティーブズ」の、電子書籍版の続編制作の資金を募る企画だ。
プロジェクトは500円から10万円まで複数のコースが用意され、パトロンには連載4回分の購読権のほか、出資金額に応じてこの日のトークイベントの参加権など、さまざまな特典が用意される。2012年暮れにCAMPFIREで募集を開始したところ予想を上回る数の支援希望が殺到、最終的に目標額の2倍を超える約120万円もの資金を獲得した。2カ月という募集期間に対してわずか2時間での達成は、今に至るもCAMPFIREの最速記録とされる。また、同時に募集が行われた連載優先交渉権を星海社が入札し、単行本化を前提とした連載交渉が現在も進行中だ。
今回のトークイベントは、同プロジェクトで1万円以上を出資したパトロンを対象に行われたもので、人数は20名程度に限定されるなどプレミア感の高い催しだ。イベントには作画担当のうめ(小沢高広、妹尾朝子)両氏のほか、原作担当の松永肇一(ma2)氏も登壇。iPhoneアプリ版をAppleに申請した際の同社との詳細なやりとりや、保有する膨大な資料に基づく作画打ち合わせの様子の紹介、さらに原作独自の展開であるタイムスリップや密室殺人、ゾンビの登場といったストーリー展開についての裏話を披露した。
また、英語圏への展開を見越した画面の方向や吹き出しのサイズについての試行錯誤といった制作秘話や、連載交渉権を獲得した星海社との交渉の進捗状況についても報告されたほか、同席したブクログ代表取締役社長 吉田健吾氏からは、電子書籍サイト「パブー」で「スティーブズ」第1話を無料公開した際の反響といった初期のエピソードも披露され、クローズドなイベントならではの数多くのオフレコ話に、参加したファンは聞き入っていた。
さらにトークイベントの終了後には、「世界初かもしれない」タブレットを用いた電子書籍サイン会も開催。画面へのサインのほか、タブレット本体への直描きのリクエストにも応えるなど、内容の濃いイベントとなった。
CAMPFIREでキュレーターとしてプロジェクト掲載を担当している越後龍一氏は、「プロジェクトを掲載する我々としては、プロジェクト起案者と彼らを支援するパトロンの関係性の獲得を重要視していて、今日はその一環。このようなイベントは、いわばプロジェクトが成功したことを支援した側とされた側が一緒に喜ぶ場であり、さまざまな年齢層や属性のパトロンとの出会いがあることから、プロジェクト起案者にはとても喜んでいただいている。また支援する側にとっても、自分が応援しているプロジェクトが形になったことをリアルな場で体感していただける喜びがある」とし、クラウドファンディングならではの強みや魅力について自信を見せていた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス