膨大な利益が関係することで論争を呼んでいた、VeriSignによる「.com」の独占管理契約延長とドメイン登録料引き上げについて、和解案が可決された。
Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)は米国時間2月28日、VeriSignに対して年間7%まで「.com」ドメイン登録料の値上げを認める和解契約を9対5で可決した。
今回の和解は、2003年のSite Finder問題後にVeriSignがICANNを相手に起こした訴訟に関連しており、双方にとって大きな利益となる。現在年間6ドルで管理されている4810万件の「.com」ドメインをベースに考えると、VeriSignには、最低2億8860万ドルの年間売上高が保証されることになる。この価格上昇は、インフレ率を大幅に上回っている。
ただし、この契約は最終的なものではない。まず、この契約は、米商務省の認可が必要である。さらに、連邦議会の一部には、この契約を認めないよう働きかける動きが既にある。下院議員のRick Boucher(民主党、バージニア州選出)は2月、Bush政権にあてた書簡のなかで、この提案は「競争を阻害する深刻な影響を与える」と述べている。
一方、VeriSignは声明のなかで、「.com」の登録契約は、2005年に認可されている「.net」関連の契約と同様だと述べ、「VeriSignは、インターネットユーザーや事業者の間で高まるニーズを満たせるよう、インターネットのインフラに関連する構築作業と投資の継続に最大の努力を払っている」と説明する。
今回の和解は、「.com」ドメインを販売するレジストラからも非難されている。レジストラらは、ICANNとVeriSignは一般大衆が得た利益を自らのものにしている、と主張する(VeriSignは今回の和解のなかで、ICANNに対して年間総額600万〜1200万ドルを支払うことに同意している)。
今回の和解内容が2005年秋に公表されたことを受けて設立された団体であるCoalition for ICANN Transparency(CFIT)は、28日の票決を激しく非難した。同団体の広報担当John Berardは、「悪質な取り決めに賛成しても流れは変わらない。インターネットコミュニティの各方面から集まる正当な批判に聞く耳を持たないICANNの姿勢を裏付けるだけだ」と語っている。
CFITは、VeriSignとICANNを提訴している。同団体は2月に提出した裁判資料のなかで、「.com」をめぐる契約は、連邦独禁法とカリフォルニア州の不当競争防止法に違反した「永続的独占構築のための非合法契約」にほかならない、と主張している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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