所有ドメインの年間使用料が来年から増額される可能性があるが、インターネットユーザーはこの動きにほとんど気付いていない。
ドメイン名を管理/監視している国際的非営利組織、Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)は、来年からの「.net」ドメインの年間使用料75セントの徴収開始を目指しており、さらに将来は、使用料徴収の対象を「.com」「.biz」など、一般に利用されている他のドメインにも拡大していくと見られる。
しかし、密かに実施されるこの使用料徴収を認めれば、ICANNに、最小限の監査しかなされない予算の拡大や、効果があいまいなプロジェクトへの資金流用を許すことになる。そのため、この料金徴収案に対しては非難の声が上がっており、批判者の数はまだわずかだが、確実に増加している。来年から.netドメインに対する料金増額が実施されれば、同ドメインの所有者の年間負担は合計400万ドル増加し、さらに料金増額の対象が.comなどの他のトップレベルドメインに拡大されれば、この額は3400万ドル以上に急増する。これはICANNの年間予算を大幅に上回る数字だ。
「こんなにひどい料金徴収案は、カナダの電子メール課税法案『法案602p』以来だ。602pは少なくともデマだったが」と語るのは、ワシントンDCに拠点を置く保守系の有力シンクタンク、Heritage Foundationの研究員James Gattusoだ。同氏はさらに、少なくともドメイン使用料の金額は「ICANN自体ではなく、外部の機関が」決定すべきだと主張している。
ICANNのドメイン使用料徴収案が大きな注目を浴びる背景には、同組織が5年前にもドメイン名に年間1ドルの使用料を課す案を提出し、政治家や保守系の活動家から激しい非難を浴びたという経緯がある。さらにBush大統領と連邦議会は今月、インターネット接続への課税を3年間猶予する法律を成立させ、オンライン課税に反対する姿勢を暗に示した。
ICANNへの支払いが義務付けられるドメインの年間使用料は今回の75セントが初めてではない。同団体は最近、.com、.net、.org、.biz、.info、.nameの各ドメインに25セントの年間使用料を課した。間近に迫った.netドメインへの課税が実施されれば、同ドメインの登録1件につきICANNに支払われる年間使用料は1ドルに増加することになる。(ちなみにDomain Intelligenceによると、ドメイン名の人気上位6個の現在の登録件数はおよそ4600万件という)
ICANNは今回の年間使用料の増額について、年間予算の拡大/安定化を図るための1手段だと主張する。しかし、今年、ICANNの支出がおよそ2倍に膨れ上がったことに対し、多くのドメイン名登録業者が団結して抗議を行ない、大騒ぎになった。そのためICANNは、ドメイン名所有者を標的にすれば組織的な反対も業者の場合ほど強くはないだろう、との結論に至ったようだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」