メジャーリーグ野球機構(MLB)が、XM Satellite Holdingsとの間で大規模な放送契約を結んだ。
今回の契約は、XMに対して、2005年シーズンの開幕から試合中継を認めるもので、同社はMLBに今後11年間で合わせて約6億5000万ドルを支払うことになる。またXMはこの契約で、打者のシルエットが入ったMLBのロゴと、同リーグに所属する30チームのエンブレムの使用権も獲得した。XMでは、契約者に対して1カ月あたり10ドル、あるいは年間120ドルの料金で、MLBの中継サービスを提供するとしている。
MLBのコミッショナー、Bud Seligは電話会議のなかで、「XM Radioとの新しい提携は、全米の野球ファンにとって素晴らしいニュースだ。これでXM Radioの250万人の契約者は、運転中でも、自宅にいても、職場にいても、外出先からでも、あらゆる試合の中継を聞けるようになる」と述べている。
XMのCEO(最高経営責任者)Hugh Paneroは、MLBとの契約を自社の「最も貴重な財産」になるとし、両者が長期にわたって交渉を進めてきたことを明らかにした。同氏は、野球はゲームが比較的ゆっくりと進行し、アナウンサーが1つひとつのプレーを「生き生きと表現できる」ことから、「ラジオ放送に理想的」なスポーツだとしている。
MLBの関係者は、Montreal Exposの移転問題に関し、同チームのワシントンへの誘致をめぐる交渉で、Paneroが一役買った点も評価した。Exposは来シーズンからワシントンに本拠地を移すことが決まったが、XMの本社もワシントンにある。
Paneroは電話会議のなかで、「いまの野球は、ラジオ、テレビ、クルマ、インターネットなど、多数のメディアで楽しむことができる。今回の契約は(XMにとって)非常に素晴らしい、夢のような話だ。野球の試合数はNFL(プロのアメフト)の10倍もあり、今回の契約締結は既存の契約者の人口構成に合うだけでなく、新しい加入者を獲得するチャンスでもある」と語った。
XMは、オリジナルコンテンツと従来形式の試合中継を織り交ぜるMLBラジオチャネルを開設するとしている。XMはまた、一部のゲームをスペイン語でも中継する。
「野球は、数百万人のファンだけでなく、自動車メーカーにとっても非常に大きな魅力がある。自動車市場におけるXMのトップの座を一段と強化するのにも役立つだろう」(Panero)
この契約は、XMの存在価値を示す強力なメッセージになる。同社の最大のライバルであるSirius Satellite Radioは今月、有数の人気を誇るDJ、Howard Sternと数百万ドル規模の5年契約を交わし、Sternが毎日放送する番組の放送権を獲得していた。
SiriusはSternとの契約を、生まれて間もない衛星ラジオネットワークの歴史のなかで最大の勝利だとアピールしたが、XMの野球中継契約の方がコストを低く抑えられるかもしれない。Siriusの試算では、Sternの番組の制作費は本人のギャラを含めて合計で年間1億ドルになるという。このコストを回収するために、同社では新たに100万人の契約者を獲得する必要があるとしている。なお、MLBとの契約については、Siriusも名乗りを上げていたと言われている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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