デトロイト発--もうすぐあなたのクルマがデジタルAVルームになる。
家電メーカー各社は、米国のファミリー層が渋滞や帰省、あるいはちょっとしたドライブに出かけた時に楽しめるような、新しい製品やサービスを見つけようと先を争っている。そうしたなかには、ガソリンスタンドでのワイヤレス音楽ダウンロードからデジタルテレビまで、さまざまなものがある。
米国時間18日、当地で開催された技術カンファレンスで企業各社が明らかにしたところでは、PCやホームエンターテインメントシステムからデジタルメディア技術を移植するこれらの取り組みの中には、まだ計画段階のものもあるが、それ以外については、早ければ来年にもニューモデルに搭載される可能性が高いという。
今後登場してくる新車には、現行の標準サイズである5インチより2インチほど大きい液晶ディスプレイが車内の複数の箇所に取り付けられるようになる。また、メーカー各社は今後数年以内に、画質や反応速度、視野角に優れた有機ELディスプレイに切り替えたいと考えている。
大手電子機器メーカーThomsonのエンジニア、Kumar Ramaswamyは、「クルマはホームネットワークの延長線上にある。部屋が1つ増えるようなものだ。クルマのなかでも自宅にあるコンピュータから(ビデオ映像を)取得できる。テレビの横に設置してあるTiVoなどの機器と連携できる」と述べている。
米国ではガソリンの平均価格が1ガロンあたり2ドル(リッターあたり約58円)を超えつつあるが、アメリカ人は長く続けてきたクルマで移動する生活を変えたがっていないようだ。連邦政府の統計によると、1970年に3兆1520億キロメートルだった全乗用車の合計走行距離は、1980年に4兆キロメートル、1990年に5兆2800億キロメートル、そして2002年には6兆8800億キロメートルへと増えてきている。
デジタルビデオは長距離ドライブにうってつけだが、大容量のビデオファイルをダッシュボードに収めたハードディスクに転送するための最適なメカニズムについては、まだ結論が出されていない。長編映画は数ギガバイトにもなる場合があり、最高速のホームワイヤレスネットワークでもなければこれを転送するのは大仕事だ。また、玄関先のカーポートにイーサネットケーブルを這わせるのもあまり現実的なアイデアとは言えない。
Thomsonでは、H.264あるいはMPEG-4と呼ばれる新しい圧縮標準を採用することで、ビデオファイルの圧縮効率を高め、屋内からクルマへのファイル転送をワイヤレスネットワーク経由でも処理できるようになると考えている。ただし、車載LCDが小さいため、画質をある程度確保しつつサイズを縮小できるよう、場合によってはビデオの解像度をリサイズする必要もあるという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス