韓国の海賊版ソフト利用者は、古風な手段でMicrosoftや規制当局の摘発を逃れてきた。その手段とは、オフィスからの逃亡である。
ソウル近郊の都市、仁川で最近、あるオフィスビルへの立ち入り捜査が行われた。同ビル内にオフィスを構える某インターネットサービスプロバイダ(ISP)に当時勤務していたある従業員によると、パソコンにインストールされたソフトウェアの調査権限を持つ警察の捜査員らがビルの裏口から密かに侵入してきたという。この動きに気づいたビルの受付係は、即座に同ビルのテナント企業各社に電話を掛け始めた。
「全てのテナント企業がオフィスのドアを閉めた」とそのISPの元従業員は語る。しかし、そのISPでは運悪く従業員が逃げ遅れたため、ソフトウェアのライセンス料と罰金を合わせて4万2000ドル(5000万ウォン)支払う羽目になった。
韓国では、警察/Microsoft/企業の3者間のいたちごっこが、ごく日常的に展開されている、と同国の複数の情報筋が語る。現在の韓国はある意味、禁酒法時代の米国と状況が似ている。すなわち、政府が断固として法を執行しようとするのに対し、多くの人々が違反者に同情している。
各種の推計によると韓国の海賊版比率は40〜50%に達しているといわれており、同国は違法ソフトの取り締まりが最も頻繁に行われている国の1つだ。海賊版ソフト問題が輸出や同国のソフト業界に悪影響を及ぼす危険性を懸念した韓国政府は、対応策としていくつかの法を制定した。
Microsoft KoreaのシニアリーガルマネージャーEun Hyun Kimは同国で行われたインタビューの中で、新たに制定された法律の1例として、従来の著作権法を強化したコンピュータプログラム保護法を挙げた。韓国政府は昨年10月にも、IT業界の監督機関である情報通信省(MIC)に著作権侵害に関する捜査権限を与える法律を成立させている。Kimによると、同法の成立以前は検察当局と警察にしか捜査権限がなかったという。
笑い事ではない
韓国政府によると、法律制定が功を奏し、同国の海賊版比率は低下しているという。しかし、違法ソフトの使用が発覚すれば法的責任を負わされる可能性がある上、国中に違法ソフトがまん延していることから、摘発を逃れようとする国民は後を絶たないという。
例えば、あるネットワーキング企業では、捜査員が立ち入る前に、従業員は自分の車に逃げ込み、さらにオフィスビルの正面玄関に施錠した。
また同ビルに入らなければならない他のオフィスの従業員に蛍光灯を消すよう要請し、建物の中に人がいるのか捜査員が確認できないようにした。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス