サンフランシスコ発--国家安全保障局(NSA)に違法な協力をしたとしてAT&Tが訴えられた裁判をめぐり、同社は審理を非公開とするよう求めていたが、米連邦地裁のVaughn Walker判事はこの要求を却下した。
AT&Tは、同社のネットワークの内部構成に関する企業秘密が明かされる恐れがあるとして、弁護士以外の入廷を禁じるよう同判事に要求していた。
Pillsbury Winthrop法律事務所の弁護士でAT&T側の代理人を務めているDavid Anderson氏は次のように述べた。「当該情報については、AT&Tに知的所有権がある。審理そのものを『インカメラ』(非公開を意味する法律用語)とすべきではないかと考える」
しかし、Walker判事は、公開の法廷で企業秘密に関する問題を慎重に取り扱う「前例がないわけではない」として、この要求を却下した。
この裁判は、サンフランシスコに拠点を置くデジタル権利擁護団体の電子フロンティア財団(EFF)が、AT&Tが法に背いてBush政権の秘密の盗聴プログラムに協力したとして1月に集団代表訴訟を起したものだ。EFFは、AT&Tの元従業員から入手した文書にその事実を裏付ける内容があるとしているが、この文書について、AT&Tは企業秘密および特許関連の情報が含まれていると主張している。
以前AT&Tに勤務していた技術者、Mark Klein氏が提供したこの文書の取り扱いをめぐってAT&TとEFFは真っ向から対立しており、文書は封印された状態で法廷に提出された。EFFはすべてを公開すべきだと述べ、一方のAT&Tは内容が機密情報を含む以上、文書は返却されるべきだと主張している。
Walker判事は17日、双方の言い分に配慮し、さしあたり文書の取り扱いを現状のままとする見解を示した。また、同判事はEFFに対して「何人に対しても当該文書を公開しない」よう命じる一方、Klein氏の発言を制限するように求めたAT&Tの要求を退け、それならばAT&T自らがKlein氏を訴えることもできると述べた。
これまでに明らかになった情報によれば、Klein氏の文書は100ページ前後を割き、膨大な量のインターネットデータや音声通信が行き交うAT&Tの主要な交換センター内に設けられた秘密の部屋について記しているようだ。Klein氏の弁護士によると、このような秘密の部屋はサンフランシスコ、ロサンゼルス、シアトル、サンノゼにあり、NSAがAT&Tのネットワークに無制限にアクセスできるようになっているという。
News.comを運営するCNET Networks、Wired News、California First Amendment Coalitionは17日の審理にHolme, Roberts & Owen法律事務所の弁護士Roger Myers氏を派遣し、訴訟手続きを一般非公開にするべきではないと主張した。Myer氏が同じく17日、審理の前に提出した書状(PDFファイル)には、「本件の核心部分である政府の監視の問題は多大な社会的関心を呼んでおり、重要性も非常に高い」ため、審理は公開のまま行われるべきだとある。
これとは別に、San Jose Mercury News紙、Los Angeles Times紙、San Francisco Chronicle紙およびAssociated Pressをはじめとする報道機関も、今回の審理にLevy, Ram & Olson法律事務所の弁護士、Karl Olson氏を送り込んだ。審理は2時間近くに及んだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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