米政府は8日、下院情報委員会の委員らとの秘密会議の中で、国家安全保障局(NSA)による米国内の監視プログラムの詳細を明らかにした。これは、政府に対する他の共和党員からの政治的圧力が効果を発揮している1つの兆候といえる。
Alberto Gonzales司法長官とMichael Hayden諜報顧問による状況説明には、Bush政権による譲歩はほとんど見られなかった。これまでBush政権は、通信傍受の詳細な実施方法を極秘扱いとし、それらについてはわずか数名の議会指導者らとしか議論してこなかった。
今回、米政府が監視プログラムの詳細の開示に踏み切った背景には、最近、共和党員からも同プログラムに対する批判が相次いでいるという事情がある。NSAを監視する小委員会で委員長を務めるHeather Wilson共和党下院議員は今週、(同プログラムについて)議会全体で審理するよう要求した。
またArlen Specter上院議員(共和党、ペンシルベニア州選出)は8日、(監視プログラムに関する)論議は「消えることはない」と警告した上で、同氏は現在、NSAのスパイ活動を外国諜報活動監視法(Foreign Intelligence Surveillance Act:FISA)に基づいて設立された裁判所の監視下に置く法案を作成中であることを明らかにした。
「(同法案は)外国諜報活動監視裁判所(FISC)が、Bush政権の監視プログラムの合憲性を判断する上で適用すべきものを規定するために何をすべきかの基準を設定するものだ」(Specter)
さらに、下院でBush大統領の最も忠実な擁護者だったF. James Sensenbrenner共和党下院議員ですら、8日にGonzales長官にいくつかの厳しい質問を行った。愛国者法(USA Patriot Act)を断固支持するSensenbrennerは、同法の改正案の中の、同氏が「人権の保護手段」と表現する部分について毎日声明を発表してきた。
Sensenbrennerが行った51の質問の多くは、大統領に対して同情的であり、NSAのプログラムに対する批判の鎮静化を意図しているように思われる。Bush政権はNSAの監視プログラムについて、テロ集団の内、少なくとも1人のメンバーが米国外にいる場合に彼らの通信を傍受することにより、テロ集団を監視するための一手段となると説明してきた。
しかし、Sensenbrennerの質問の一部は厳しい内容となっている。例えば、Sensenbrennerは司法長官に対し、複数の人権団体または市民団体が1月30日に送付した書簡の中で指摘している点について回答するよう求めている。同書簡を送付した団体の中には、アメリカ自由人権協会(ACLU)、民間の国際的人権擁護団体のAmnesty International(AI)、市民団体のPeople for the American Way(PFAW)などが含まれている。
Gonzalesは今週、上院のある委員会に出席し、管理プログラムの合法性を訴えたが、同時に、不注意により米国民の電子メールや通話が傍受されていた可能性があることを認めた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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