先ごろ、NSA(National Security Agency:米国家安全保障局)が米国内でスパイ活動を行っていたことが明らかになったが、その詳細はまだ謎に包まれたままだ。
Bush大統領は米国時間19日の記者会見で、NSAの活動を強い調子で擁護したが、実際の活動内容に関する情報はほとんど明かさなかった。司法長官のAlberto Gonzalesも「おそらく米国政府にとって最高機密のプログラムだ」とコメントしただけ、Bushと同様に詳細を明かさなかった。
しかし、一部の技術者や自由擁護論者らは、記者説明会やニュース記事から得たヒントを手がかりにしながら、このスパイ活動で監視された米国外との電子メールや電話によるやりとりは数百万件に上ると結論づけている。
Electronic Frontier Foundationの共同設立者であるJohn Gilmoreは22日、「強力な捜査網が争点になっていることを示唆する情報が集まっている。おそらく、米国受発信の国際通信すべてがNSAに傍受されている」とメーリングリストへの投稿のなかで述べている。
NSAは長年「通信情報収集」と呼ぶ活動を行ってきた。これは、電波中継装置や衛星通信信号、海底ケーブルの傍受によるデータ収集を意味する。NSAの関係者はこれまで、神経過敏な政治家や一般大衆に対し、大規模で機密性の高い電子傍受活動は米国市民をターゲットにしたものではない、と述べていた。
ところが現在では、Bushが秘密裏に指令を出し、NSAによる米国市民と国外居住者との通信傍受を認めるたのではないかとの疑問が出始めている。
NSAは、電子メールの少なくとも「ヘッダ」情報(宛先、発信元、件名)を自動的に収集するデータベースに加え、米国受発信となるすべての通話のデータベースを構築した可能性があると、Gilmoreは推測している。
このような考えを裏付ける証拠として、同氏はNew York Times紙の20日付けの記事を引用した。この記事は匿名の関係者の話として、NSAのシステムは「ホットナンバー」(要注意人物の電話番号)と、おそらく電子メールも特定できる、としている。
これまでにもこうした事例はあった。たとえば、NSAの「Project Shamrock」では、米国内でやりとりされた電報や、米国内の宛先に向けて海外から打たれた電報をすべてチェックしていた。1970年代には、上院のChurch委員会がこの問題の改革に取りかかった。同委員会はNSAによる米国市民を対象にした監視活動を押さえ込もうとした。
Bush政権や支持者らは、この容疑を否定している。下院諜報委員会で委員長を務めるPeter Hoekstra議員(ミシガン州選出、共和党)は21日、「大規模かつ無差別なネット傍受活動が行われ、そのなかに米国内の通信も数千件含まれていたという説は誤りだ」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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