ワシントン発--Bush大統領とその側近らが、国内盗聴活動の擁護に躍起だ。同活動に対しては、議会内で批判の声が上がっているとともに、複数の訴訟が提起されており、さらに2月には上院の公聴会も予定されている。
盗聴活動に対する全面攻撃が前日から続く中、Alberto Gonzales司法長官は米国時間24日、ジョージタウン大学で講演し、戦時においては裁判所の許可なく米国民の電話や電子メールを傍受する法的権限が大統領に与えられると学生らに説明した。
Gonzalesは、「テロ組織関係者への盗聴活動は必要かつ合法的だ」と述べた上で、「したがって、大統領はこの合法的権限について自らが負っている唯一の責務、すなわち『その行使』を実行したのだ」と語った。
同活動では、米国家安全保障局(NSA)が裁判所の令状なしに会話を盗聴している。Gonzalesが同活動を擁護する背景には、従来から内部事情の公表を避けてきたNSAに対する監視が強化されているという事情がある。
John Conyers下院議員(ミシガン州選出、民主党)は20日、Google、Yahoo、EarthLink、Verizon Communications、T-Mobileなどの企業に対し、これまでに、裁判所の令状がなくても政府に自社ネットワークへのアクセスを認めたことがあるかどうか尋ねた。また、Arlen Specter上院議員(ペンシルバニア州選出、共和党)は、2月6日に司法委員会の公聴会を開催する予定だ。Specterは、同監視プログラムは違法との見方を示している。
一方、Bush大統領自身は、23日にカンザス州立大学で講演し、その中で盗聴活動を擁護した。Bushは、「連邦裁判所はこれまで一貫して、大統領には米国の敵に対する海外諜報活動を行う権限が憲法上認められている、との判決を下してきた」と述べ、さらに「歴代大統領も同じ憲法上の権限を行使してきた」と付け加えた。
元NSAのディレクターで、現在は諜報機関の幹部を務めるMichael Haydenは、さらに強力に盗聴活動を擁護した。Haydenはワシントンで行った講演の中で、「これは私の専門家としての判断だが、仮に同時多発テロ以前に同活動が実施されていたら、米国内に潜むアルカイダの実行犯の一部を事前に発見し、身元を割り出せていただろう」と語った。
Gonzales司法長官はこれらの議論を繰り返した上で、アルカイダは現実の脅威であると述べ、さらに先週、Osama bin Ladenからのビデオテープが明るみに出たことを指摘した。長官は、盗聴活動の適用範囲に関するメディアの解説はほとんど例外なく、「誤解しているか、複雑で分かりにくいか、情報自体がでたらめか、のいずれかだ」と強調した。しかし長官は、同活動は依然「極秘扱い」だとして、それ以上の詳細の発表は避けた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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