「EMCはストレージというハードウェアを販売する企業から、情報ライフサイクル管理にフォーカスしたトップテクノロジー企業になる」。こう説明するのは、EMCマーケティング&テクノロジー担当主席副社長のハワード・エリアス氏だ。事実、同社は昨年度積極的にソフトウェア関連企業の買収を進め、2004年度第2四半期の売上高19億7000万ドルのうち、ソフトウェアの売上高が5億2600万ドルに達した。この売上高と、サービス関連の売上高4億9800万ドルとを合計すると、ハードウェアの売上高9億3000万ドルを超えたことになる。
EMC マーケティング&テクノロジー担当主席副社長 ハワード・エリアス氏 |
EMCが積極的に打ち出している戦略として、ILM(情報ライフサイクル管理)がある。これは、変化し続ける情報の価値をベースとして、ITインフラストラクチャとビジネスを連動させるというもの。このILM戦略実現のためにEMCが提供するのは、「階層型ストレージ」「保護・リカバリ」「データの移動」「情報およびコンテンツ管理」、そしてこれらすべてのレイヤーを管理する「情報インフラストラクチャ管理」だという。「これを実現するために、LegatoやDocumentumといったソフトウェア企業を買収した」(エリアス氏)
また同社は、VMwareを買収するなどして、仮想化技術の提供にも注力している。ILM実現において仮想化や自動化は欠かせない技術となるが、「EMCはサーバ、ネットワーク、ストレージの全レベルにおいて仮想化を提供する」とエリアス氏は語る。
「実際にILMを導入する際には、段階的に導入することになるだろう」とエリアス氏。まずは階層型インフラストラクチャの導入だ。適切なインフラストラクチャ階層へ情報を配置し、ストレージ管理を自動化する。次のステップでは、特定のアプリケーションを対象としたILMの導入で、各データのタイプに対してビジネスポリシーや移行ポリシーを定義していく。最終的にはすべてのアプリケーションを対象として、企業全体でのILMを実現する。現時点において、「ほとんどの顧客は最初のステップは導入済み」とエリアス氏はいう。
ILM実現のための技術はほぼそろったとしている同社だが、今後さらに必要なことは、「アプリケーションのインフラを簡素化し、アプリケーション環境を統合することだ」とエリアス氏は述べる。「ストレージ業界のみならず全業界にとって大切なことは、それぞれのアプリケーションと業務プロセスを理解し、そのうえで管理を結びつけて簡素化をはかること。これができてこそILMが実現する」(エリアス氏)
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