日本ヒューレット・パッカード(HP)は9月8日、インフォメーションライフサイクルマネージメント(ILM)を実現するためのストレージ新製品、HP StorageWorks XP12000を発表した。同社エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 ネットワークストレージ製品本部 本部長の渡辺浩二氏は、「データの重要度に応じて適切な管理をすることでTCOを削減し、ビジネスの優位性につなげるというのがILMの趣旨だが、HPの提唱するILMでは、データのみならずシステム全体の最適化をめざしており、ビジネスプロセスなどから最適な情報管理手順を自動的に判断する仕組みを提供する」と説明する。
日本HP エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 ネットワークストレージ製品本部 本部長 渡辺浩二氏 |
今回発表されたXP12000は、エンタープライズ向けハイエンドストレージのXP1024およびXP128の後継機種となる。仮想化技術が搭載された同製品は、低コストのエントリー向けストレージや、歴代XP製品を外部拡張ストレージとして背後に接続、仮想論理ディスクとして利用し、管理することができる。同製品には、自動的なデータの複製や移行、サービスレベル管理などの機能が備わっており、安価なストレージと併用することで高度なILMが実現できるという。また、既存のXP製品を接続できるだけでなく、今後は他社製品とも接続させてデータマイグレーションが可能となる機能を備えていくため、「既存投資も保護できる」と渡辺氏。「通常大規模なシステムを導入すると、そのベンダー1社に囲い込まれる傾向にある。特にストレージにおいてベンダーを分散させることは困難だったが、このシステムで少し風通しがよくなる」と同氏は説明する。
ILMを実現するため同製品にはほかにも、データの2次、3次利用を可能にする複製ソリューションや、データ保管のセキュリティを強化するLun Security Extension XPといった機能が備わっている。また、2005年第1四半期には、複数のサービスレベル管理を実現するパーティション機能が提供されるという。
XP12000はスペックも強化されており、「常に業界最高レベルのものを提供する」と、同社ネットワークストレージ製品本部 プロダクトマーケティング部 担当マネージャー 諏訪英一郎氏。発表時点のXP12000の物理容量は最大165TB(テラバイト)で、2005年上半期には332TBにまで拡大されるという。また、外部拡張ストレージを利用することで、最大14PB(ペタバイト)のデータを単一のXP12000システムの論理ボリュームとして使用することが可能。外部拡張ストレージの利用によるストレージ容量は、2005年第1四半期には32PBまで拡大される。
ストレージ容量以外にも、XP12000は今後機能拡張が予定されている。リモートコピーを実現する災害復旧ソリューションにジャーナリング機能が追加され、リモートへ送信する更新データをディスク上で蓄積し、ネットワーク帯域を有効活用して転送を行うことができるようになる。さらには、同社のハイエンドサーバNonStopとの接続も2005年上半期にはサポートする予定で(XP128、XP1024では2004年9月よりサポート開始)、「NonStop、メインフレームなどを含めた全社レベルのストレージ統合が可能になる」(諏訪氏)という。
HPでは、XP12000をILMの中核プラットフォームととらえている。渡辺氏は、「全体をひとつのストレージプールとして仮想的に管理でき、ポリシーベースの動的なデータ移行が可能となる同製品でILMが実現できる」と述べた。
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