日立製作所は9月8日、ディスクアレイ自体に仮想化技術を採用したハイエンドストレージサブシステム「SANRISE Universal Storage Platform」(SANRISE USP)を発表した。ディスクアレイ自体に仮想化技術を適用するのは「世界初」(同社 執行役員専務 情報・通信グループ長&CEO、古川一夫氏)で、これにより外部ストレージとの接続が可能になるという。
同製品は世界で同時に発表されており、米国ではHitachi Data SystemsがTagmaStore Universal Storage Platformとして発表したほか、国内でもOEM提供を行っている日本ヒューレット・パッカードがHP StorageWorks XP12000として、代理店契約を結んでいるサン・マイクロシステムズがSun StorEdge 9990として提供開始した。
日立製作所 執行役員専務 情報・通信グループ長&CEO、古川一夫氏 |
外部ストレージの接続は、Universal Volume Managerで実現する。現在使用している異機種の複数ストレージリソースとSANRISE USPを接続し、仮想化技術で一元管理することができる。これにより、「管理効率が向上してストレージ総保有コストが大幅に削減される」と、同社 情報・通信グループ RAIDシステム事業部長の小菅稔氏は説明する。
同ストレージシステムはほかにも新たな機能として、仮想プライベートストレージ機能(Virtual Partition Manager)およびユニバーサルレプリケーション機能(Universal Replicator)を2004年第4四半期より提供する予定だという。仮想プライベートストレージ機能とは、アプリケーションや業務処理ごとに、ディスクアレイ内に仮想ストレージ装置として専用のディスクドライブやキャッシュメモリ、サーバ接続ポートを割り当てる機能で、1台のサーバから負荷が集中した場合も、他のサーバに割り当てられたストレージリソースに影響を与えないことが特徴。ユニバーサルレプリケーション機能は、ディスクドライブ上に作成したジャーナル(変更履歴)ファイルを遠隔地の別のSANRISE USPに転送する新方式のリモートコピー機能だ。
今回発表したストレージで、外部ストレージの接続機能や共通ストレージプール管理が可能となったが、今後の日立のストレージソリューションとして小菅氏は、「多階層ストレージ間で、データ配置やアーカイブをポリシーに基づいて自動に行えるようになる」としている。
日立がIDCやGartnerの調査を基に独自でグローバルシェアを算出したところ、現在の日立のシェアは「エンタープライズクラスでは27%で1位(OEM提供分も含む)、ミッドレンジでは6%で5位、管理ソフトウェアでも同じく6%で5位」(古川氏)だという。古川氏は、「フルレンジストレージソリューションベンダーとして今後は、エンタープライズアレイのトップシェアを維持・拡大して29%にまで伸ばすこと、ミッドレンジアレイでは10%をねらって4位になること、ストレージ管理ソフトウェアおよびソリューションの提供力強化で管理ソフトウェアのシェアを10%にまで伸ばし3位となることが目標」と述べる。
エンタープライズ分野においては、今回USPというカテゴリを投入したことでトップシェアを維持するとしており、ミッドレンジアレイでは高性能機から低価格機まで多階層ストレージ製品をフルラインアップ化するという。さらにストレージ管理ソフトウェア分野においては、アプリケーションからハードウェアまでのDLCM(Data Life Cycle Management)統合ソリューションを提供すると古川氏はいう。DLCMとは、同社が今年6月に提唱したストレージソリューションのことで、他ストレージベンダーの提唱するILM(Information Lifecycle Management)と基本的なコンセプトは同じだ。
日立では、ストレージソリューション全体の2004年度の売上を2900億円と見込んでいる(2003年度の実績は2640億円)。これを「2005年度には3200億円の売上をめざしたい」(古川氏)としており、なかでも今回発表した新製品の売上は全体の約70%を占めるようになるだろうとの見解を示した。
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