ストレージベンダーの多くが「情報ライフサイクル管理(ILM)」をキーワードにした戦略を打ち出しているが、富士通もILM戦略への道を歩みはじめたようだ。同社は6月8日、ILMを実現できる製品の第一弾として、新開発のソフトウェアで自律ストレージ管理が可能となったストレージシステム「ETERNUS3000アーカイブストレージ」を発表した。
これは、同社のディスクアレイETERNUS3000、テープライブラリETERNUS LT130/LT160、ストレージのデータ管理を行うネットワークストレージサーバETERNUS SP5000に、ネットワークストレージサーバ用のソフトウェアで富士通が独自開発した「コンテンツ・アーカイブ・マネージャー」を組み合わせたもの。このソフトウェアにより、使用頻度の高いデータは高速なディスクアレイに、使用頻度の低いものはテープライブラリへと自動的に保存できるという。
富士通 ストレージシステム事業本部 ストレージ事業部 事業部長 松島等氏 |
「企業が取り扱うデータ量は年率70%で増加している。また、データ保存に関する法令や規制が整備されつつあり、電子データをいかに安全に長期保存するか、各企業は対策を迫られている。ストレージの役割は単なるデータの保存場所ではなくなってきた」と、富士通のストレージシステム事業本部ストレージ事業部事業部長 松島等氏は述べる。「情報のライフサイクル全般にわたって、うまくデータを管理することが重要だ。こういった顧客ニーズに応えるため、ETERNUS3000アーカイブストレージを用意した」(松島氏)
同ストレージシステムは、データの改ざんや誤消去を防ぐため、元のデータを残したまま更新したデータを追記するWORM(Write Once Read Many)構造を採用しているという。これにより、「原本を完全に保証でき、改ざんを防止できる」と松島氏は説明する。また、システム内のストレージ装置を入れ換える際、ソフトウェアが自動的に新ストレージ装置へのデータ移行を行う機能を備えており、長期にわたってデータを保存する場合の手間が省けるという。
富士通では、同社の金融・財務情報管理用ミドルウェアInterstage XWandと同ストレージシステムを連携させ、企業財務情報のXML標準であるXBRL文書の保管運用を効率的に行うといった適用例や、X線・CTスキャンなど大量な医療画像情報を抱える医療機関に対し、同社の電子カルテシステムHOPE/DrABLE-EXとの連携で、患者情報が改ざんされることなく生涯にわたってデータ保存可能なシステムの構築などを想定している。後者の電子カルテシステムとストレージシステムとの連携は、すでに導入済みの事例があるという。
同システムの価格は、2048万円から。コンテンツ・アーカイブ・マネージャーを含むそれぞれのシステムはこれまでどおり個別にも販売される。ETERNUS3000アーカイブストレージとして出荷されるのは8月20日からで、富士通では3年間に400システム販売することを目標としている。
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