Twitterが米国時間4月17日に行った、自社の特許ポートフォリオを防衛手段としてのみ使用するという重要な発表は、テクノロジ業界に大きな称賛をもって迎えられた。2つのわずかな変更を加えれば、Twitterの「Innovator's Patent Agreement」(IPA)は実際に、ソフトウェア特許の状況を完全に変えることができるかもしれない。
IPAに署名したすべての企業が、互いの特許を防衛手段として利用できるようにする。その資格を得るには、企業は提供できる特許を少なくとも10件保有している必要があり、かつ係争中の特許訴訟があってはならない。特許の最小件数を10件とすることで、新興企業であっても特許によって革新を起こそうという意欲につながるという好循環が生み出される。IPAに署名したほかのあらゆる企業の特許に保護されることになるからだ。
この小さな変更を加えれば、Twitterの後に続く企業が続出する可能性がある。IPAに参加すれば、そうした企業のすべてが互いに恩恵を受けるからだ。すべての特許訴訟やパテントトロールを回避できると保証されるわけではないが、署名する全企業の特許を合わせれば、数多くの申し立てが可能になり、攻撃手段として用いられている特許を弱体化させることができるだろう。
現在、企業が幅広い特許範囲を得るには、RPX Corporationのような防衛的特許集約サービス企業に費用を支払うしかない。RPXは多くの特許訴訟の危険性を軽減できる、多岐にわたる優れた特許を有しているものの、高額な費用がかかるうえ、大企業でないと利用できない。
現在、ソフトウェアに関しては、金づちやくぎに相当するようなものにまで特許が取得されており、開発者は数多くの特許を侵害しなければ何も作ることができない。筆者は、2003年にSun Microsystemsを離れて会社を立ち上げたときに、当時普及していたウェブアプリケーション構築手法を使うため、自分自身の特許を侵害しなければならなかった。
ありがたいことに、SunはTwitterと同様に、特許を防衛手段としてのみ使用していた。しかし、問題となるのは、特許をめぐるそうした約束事が長続きしない可能性があることだ。SunがOracleに買収されて以降、Sunの特許は、専有のJava仮想マシンを「Android」で使われたとして、Googleを訴えるために利用されている。
IPAは、将来特許を出願する人がその特許を攻撃手段として用いることを防ぐ役割となる。しかし、IPAの発する言葉は弱々しい印象であり、実質的な効力に欠ける。特許を本来の発明者か、非営利の特許保有会社に自動的に戻すようにすれば、この問題を解決できるかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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