電気自動車メーカーのZAPが米国時間6月22日、1回の充電で約160km走行可能で、しかも製品価格3万ドルの電気自動車を発売すると発表した。これまで実現したことのない価格と性能の組み合わせだ。
だが、ZAPが成功するかどうかはまだわからない。
ZAPによれば、同社の新型セダンは、2008年末ごろ市場投入を予定しているSUV車「ZAP-X」のテクノロジを利用したものだという。ZAP-Xは、1回の充電で約560km走行可能で、時速0-60マイル(時速約96km)加速は4.8秒という設計だ。
ZAPによると、新型セダンの最高速度は時速約160kmになる見込みで、発売はZAP-Xより前になる可能性が高いという。新型車に関する詳細は、7月29日に開かれるZAPの株主総会で発表する予定だ、とZAPは述べた。
ZAPが強調する新型セダンの価格対性能比は、ほかの電気自動車メーカーに比べて大きい。たとえば、「Tesla Roadster」は1回の充電で約320km走行可能だが、価格は9万2000ドルから9万8000ドルにもなる。一方、Tesla Motorsが2009年に発売を予定しているセダンは価格が5万ドルから7万ドルだが、1回の充電で走行可能な距離はRoadsterに及ばない。
電気自動車が高価なのは主に、エネルギー源となるリチウムイオンバッテリのコストによる。電気スーパーカーの製造メーカーWrightspeedの最高経営責任者(CEO)Ian Wright氏の見積もりによると、ホンダの「Accord」を電気自動車にするには、バッテリだけでおよそ3万ドルかかるという。
こうした事情から判断して、電気自動車分野の事情通の多くは、ZAPが成功する可能性について懐疑的だ。同社はこれまで、比較的限られた台数のスクーターと電気自転車を販売してきた。そのほか、従来型のバッテリを搭載した最高時速55km程度の電気自動車「Xebra」も同社の製品だ。
しかし、ZAPの最高経営責任者(CEO)Steve Schneider氏は、今回のプロジェクトに関して多くの企業から賛同を得た、と主張する。車のデザインは、英国のGroup Lotusが協力している。ZAPはまた、リチウムイオンバッテリ市場で複数の新興企業とも提携している。
自動車用のリチウムイオンバッテリを開発しようとしている企業には、Valence Technology、Altair Nanotechnologies、A123 Systemsなどがある。2007年1月に行った取材でSchneider氏は、ValenceとAltairの両社と近い関係にあることを認めた。
Schneider氏によると、ZAPの車が1回の充電で比較的長い距離を走行できるのは、その設計によるものだという。ZAP-Xおよび新型セダンは、4つのホイール内のハブモーターで駆動する。この設計により、車体内にバッテリ用のスペースを広く確保できるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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