ソニーの代表執行役会長兼CEOのハワード・ストリンガー氏は10月4日、CEATEC JAPAN 2005で「デジタル時代のコンスーマー・エレクトロニクスの将来」と題したキーノートスピーチを行った。
「エレクトロニクス事業に注力することで、経営の建て直しを図る」とした中期経営計画を9月22日に発表して以来のおおやけの場でのスピーチということもあってか(関連記事)、同氏の聴講受け付けは開催早々に締め切られ、入場前には長蛇の列ができるなど、関心の高さがうかがえた。
「ソニーは今もイノベーションのリーダーである」と語るハワード・ストリンガー氏 |
満席の会場に登場したハワード・ストリンガー氏は、冒頭に「渦中にいると起こっていることに気づかない」と語り、その例として東京のレストランでのエピソードを挙げた。ランチタイムに同じテーブルに座っている女性4人組が、それぞれケータイに向かってやりとりしている様子に驚いたというもので、「ショッキングだったのは、これがあたりまえの光景になったことだ。日本人には大きな変革が起こっている」と述べた。
また、実際に秋葉原に足を運んだ際、テレビなどの市場価格が下落していることを実感したことにも触れ、部品のコモディティ化などが進んでいる現状を踏まえて「ソニーはその挑戦に立ち向かっていく」と語った。
一方で、現状については「ソニーは今もイノベーションのリーダーである。しかし、イノベーションを市場とマッチングさせることに遅れをとった」と分析する。意志決定を迅速にするため、エレクトロニクスCEO(中鉢良治氏)のもとに共通部門として企画から開発、製造、マーケティングなど区分を越えて集中させたとアピール。また、リストラによるコスト削減だけでなく、必要なところにはコストをかける戦略があると語り、構造改革と成長戦略の2つを軸にソニーの再生を目指すとしている。
また、PSPやウォークマン、ハンディカムなどのソニーのヒット商品の実績と、PlayStation3など将来の製品についてもアピールした。Cellチップについては「Xbox360の2倍の処理能力があり、どれもPS3にはかなわない」などと言葉を強めた。
また、今後はソニーの持つ映像や音楽などのエンタテインメントコンテンツと、ゲームやコンピュータなどのハードウェア、ネットワークなどのサービスを融合し、新たなデジタル時代を創造していくという。「評判は短期間に傷つくこともある」としたうえで、「お客様が王様。お客様の望む商品を提供する」と語った。
今後のソニーについては、「王貞治を思い出してほしい。彼はうまくいかない時期もあったが、1本足打法で革新した。われわれも同じ。1本足打法で成功を収めた王氏と同じように革新と成長を続けていく」と締めくくった。
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