電子情報技術産業協会(JEITA)は22日、同協会会長の安藤国威氏(ソニー代表執行役社長)による定例会見を行った。安藤氏は、現在の国内景気とハイテク産業における見解と、当面の課題について語った。
「国内景気は回復基調にある」と安藤氏は冒頭で述べる。特にハイテク業界において、液晶テレビやプラズマ、DVDレコーダーといったデジタル家電が順調に成長しており、これら製品の関連デバイスが2けた成長を遂げているという。「昨年末にJEITAが公表した2004年の国内生産の見通しは、前年比プラス6.5%だったが、上半期はこれを上回った。下半期も同様の成長が期待できる」(安藤氏)
景気に対しては悲観的な見方もあるというが、「国内販売も堅調で、設備投資も伸びていることから、着実な成長が期待できる」と安藤氏はいう。ただし、懸念事項として外需の影響が大きいことをあげ、「米国の大統領選挙後の政策や消費行動にも注意を払っておくべき」とした。
JEITA会長、安藤国威氏 |
安藤氏はさらに、今後の課題として、中国との関係強化、またデジタル家電のさらなる発展が重要だと述べた。
JEITAは今月3日、中国北京市のJETRO北京センター内にJEITA北京事務所(JETRO共同事務所)を開設すると発表しており、これまで以上に日中業界間の相互理解を深め、協力関係を強化していくとしている。11月には中国電子商会(China Electronic Chamber of Commerce:CECC)と環境会議を開催する予定で、模倣品や知的財産問題などについて議論するという。
デジタル家電については、「メーカー間の競争が激化しているが、グローバルマーケットで競争力を保つためにも、いかに利潤を保ちつつ発展させていくかが重要となってくるだろう」と安藤氏。同氏は、過度の競争に発展すると価格競争になってしまうと警告し、新たな技術で価値を高めつつ競争すべきだと述べた。
アテネ五輪も終了し、需要も一段落したのではないかとの意見もあるが、「通常1年の最大の商戦時期は秋から年末となる」と安藤氏は述べ、「今後は省電力やデザイン性、画質などに注力した商品展開が期待できる」としている。「デジタル家電は、家電メーカーのみならずPCメーカーも参入しており、メガコンペティションとなっている。これまでの競争とは違った展開だ」(安藤氏)
安藤氏は、過去にDRAM市場で日本メーカーが世界を制覇していたにもかかわらず、現在同市場で競争力を持つメーカーが国内から消え去ってしまったことについて「同じ過ちを犯してはならない」と述べる。「液晶をはじめとするデジタル家電は、日本ではじまり、国内の景気回復にも貢献した事業だ。開花する時に他国メーカーにシェアを奪われないようにしなくては」と強調した。
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