電子情報技術産業協会(JEITA、佐々木元会長)が4月26日に発表した03年度(04年3月期)の国内パソコン出荷実績は、台数が前年度比10%増の1078万3000台と3年ぶりに増加、金額は前年並みの1兆6120億円と3年ぶりに下げ止まりの状況になり、パソコン市場に明るい兆しが見える結果になった。
今年度からパーソナルコンピュータ事業委員会の委員長に就任した片山徹・NEC執行役員常務は、「1月に発表した出荷台数見通しの1070万台を上回った。企業向けでは、IT減税によるパソコンのリプレースが好調だったことが大きい。個人向けでは、AV(音響・映像)機能を搭載したパソコンの需要が増えた」と強調し、「昨年度の傾向は、企業と個人ともに続くだろう」と、パソコン市場が回復傾向に進んでいることを示した。
出荷台数構成比は、企業向けが60%、個人向けが40%。前年度比が2ケタ成長になった要因は、企業向けがけん引したという。個人向けは、「100%を少し超えた程度」(木村政孝・パソコン幹事会幹事長)と、企業向けより伸びが鈍化していることを挙げた。
04年度の出荷台数見通しは、前年度比6%増の1140万台を見込む。「企業向けで00年問題の更新期によるリプレース需要が期待できる。個人向けでは、今夏のアテネオリンピックで引き続きAV機能の需要が増える」こと(片山委員長)などで出荷台数が増えるとしている。
金額については、前年並みを見込んでいる。要因は、出荷単価が下落傾向にあることが大きい。03年度第4四半期(04年1−3月)の平均単価は14万4000円と、前四半期(03年度3四半期)と比べて2000円、前年同期の15万3000円より9000円下落したことになる。
木村幹事長は、「個人市場でユーザーが何に消費するかという点で、今はパソコン以外で魅力のある機器が増えており、薄型テレビを始めとしたデジタル家電機器など目移りするものが多い」と、パソコン以外の競合製品において単価下落が激しくなることを危惧しており、「5%程度の下落があるのではないか」と分析した。
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