Salesforce.comが新規株式公開(IPO)で最大8500万ドルの資金調達を計画していることが、米国時間20日に公表された米SEC(証券取引委員会)へ提出書類から明らかになった。
Salesforceの目論見書によると、ビジネスアプリケーションソフトを販売する同社は、全株式の10%弱にあたる1000万株を7ドル50セントから8ドル50セントの価格帯で売り出すという。この価格帯を基準に計算すると、同社の時価総額は最大で約8億5000万ドルになる。
今回のIPOはMorgan Stanleyが主幹事となり、そのほかにDeutsche Bank、UBS Investment Bank、Wachovia Securities、William Blairの各社が幹事を務める。
SalesforceはIPOで調達した資金を、設備投資や企業買収のほか、一般的な各種の用途に使う予定だと、同書類には記されている。アナリストによると、IPOは通常、株式の公募価格帯提示から4週間後に行われるという。
先に提出された書類によると、同社は自社株をニューヨーク証券取引所で売り出す予定だという。銘柄コードは「CRM」で、これはSalesforceが専門にする顧客管理ソフトの頭文字から取ったもの。
同社CEO(最高経営責任者)のMarc Benioffは、このIPO実施後、同社株の28.3%を保有することになる。SECへの提出書類に記された価格帯の上限である8ドル50セントを基準に計算すると、同氏の持ち分は2億3950万ドル相当になる。
これで、同氏の給与支払明細には、多少は正常な数字が並ぶかもしれない。Benioffは、AppleのSteve JobsやCisco SystemsのJohn Chambersなど、IT業界のほかのCEOと同様に、2004年度および2003年度の給与として、それぞれ1ドルしか受け取っていない。
SalesforceのIPOは、ハイテク業界での新規株式公開ブームに再び火をつけると見られている。Salesforceの提出した書類は、LinuxソフトウェアメーカーのLindowsが5750万ドルの資金調達を目指す自社のIPOの詳細を発表したのと同じ日に公表された。株式の新規公開を間近に控えているハイテク企業には、ほかにもスパム対策ソフトウェアメーカーのBrightmailや、比較ショッピングエンジンを開発するShopping.comなどがある。
SalesforceのIPOは、ソフトウェア業界に変革をもたらす可能性を秘めた新しいビジネスモデルのテストとも考えられている。同社は、サブスクリプション形式でソフトウェアを提供するベンダー各社のなかでも代表的存在だが、この販売形態は法人の購買担当者の間で人気が高まりつつあるものだ。Salesforceや同業他社の成功は、SAPやSiebel Systems、PeopleSoft、Oracleといったソフトウェア企業に課題を突きつけることになるかもしれないとアナリストらは予想している。
同社はIPOの発表とあわせて、新たに2004年度の業績を発表し直した。これは規制当局からの要望を受けたもので、前年度の数値と比較しやすいようにしたものだ。同社では先頃、販売手数料の計上方法を変更したが、これに伴い前年度の数値との比較が難しくなっていた。
新たに発表された2004会計年度(1月末日締め)の純利益は350万ドルだが、修正前には同年度最初の9カ月間の純利益が470万ドルとされていた。また2003会計年度の損失は970万ドルで、修正前の930万ドルからわずかに増加している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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