オンライン匿名性の終焉--単一IDが与える影響を考える

文:Sarah Perez 翻訳校正:川村インターナショナル2008年12月04日 07時30分

 今、われわれはインターネットの新しい時代を迎えようとしているようだ。匿名で顔のないIPアドレスの代わりに、ソーシャルコンピューティングや変化し続けるテクノロジによって、「現実」世界と「仮想」世界の境界が不鮮明になってきている。Web 2.0は、あるサイトでは写真を投稿し、別のサイトではStumbleUponでブックマークを登録し、さらにTwitterやDiggに参加するなど、自分の生活の断片をネット上で共有することで、自分のアイデンティティが部分的に少しずつ公開されて行く世界を造り出した。しかし、ソーシャルメディアの登場は、新しいウェブを急速に形作る変化の1つにすぎない。

 近い将来のウェブでは、もはや匿名性は存在しない。匿名性はすでに存在しないという主張も成り立つかもしれないが、それは完全に正しいわけではない。今でも、例えばTwitterなどのソーシャルネットワークサイトで、他人の名前やブランドを騙っている者たちの噂は絶えないし、有名人についてMySpaceで検索すると、その人物の「公式」ページだと称する何百というページが結果として返ってくる。しかしそうした「なりすまし」の時代は急速に終わりを迎えるだろう。

「なりすまし」は今や犯罪

 このことに関する判例となった「Lori DrewのMySpace」裁判が先ごろ終了した。ご存じない方のために説明すると、これは過保護の母親がネット上で架空の人物になりすまし、自分の娘のライバルだった少女にいじめをはたらいた事件である。判決では、ネット上で架空の人物になりすました行為が犯罪とみなされた。この事件については、多くの人が被告は判決で言いわたされた罰に値すると考えるだろう。しかしこの事件がもたらした衝撃は、判決が覆されない限り、今後数年にわたりネット上で人格を作り上げるという行為に対して極めて大きな影響を与えることになるだろう。

 「この判決が有効だとしたら、インターネット上のサイトすべては刑法を制定することになる」と、ヘリテージ財団のシニア・リーガル・ポリシー・アナリストであるAndrew Grossman氏は述べている。「これは過激な変化だ。これまで小さな契約だったものが、重大な犯罪的禁止措置になる」

「本物」の自分の認証

 「偽者」を排除しようというサイトのニーズに応じるには、ユーザーは新しい方法で認証を受けることが必要になる。例えば、FacebookやGoogleなどの企業は、ユーザーが申請通りの人間であるか、身元を確認するためのソリューションを提供する準備を整えている。「Facebook Connect」、「Google Friend Connect」、それにYahooの「Open Strategy」では、ID管理という新しい分野に進出するため急いで準備を進めている。これらの企業は、オンラインIDに関する事実上のプロバイダーとなることを目指している。

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