グーグルの潜在リスク--オープン広告ネットワーク - (page 2)

文:Sean Ammirati 翻訳校正:吉井美有2007年06月05日 08時00分

提案:オープン広告ネットワーク

 これを誰かと議論していると、普通最初に指摘されるのは、現在すでに他の広告ネットワークが存在しているということだ。確かに、競合関係にある多くの広告ネットワークが存在するが、それらはGoogleが現在持っているのと同じ経済構造の中で運営される傾向があり、しかもGoogleほどうまくはいっていない。それらの広告ネットワークは広告を保証し、パートナーのサイトに配信し、収入の一定割合を受け取る。これは、元になる広告ネットワークが生まれてきたときには意味があった。当時、広告は広告主との直接の関係を通じて高い値段で売られていたからだ。しかし最近では、かなり多くの広告がロングテール広告主に対してセルフサービスで売られている。

 数カ月前、わたしは「オープン精神」がいかに産業を改革するかについての「独り言記事」を2つ個人のブログに投稿した(パート1パート2)。これらの記事について考えているときに、わたしはO'Reillyが1999年に出した良著、『Open Source:Voices from the Open Source Revolution』(邦訳:『オープンソースソフトウェア― 彼らはいかにしてビジネススタンダードになったのか』1999年、オライリー・ジャパン刊)に行き当たった。そこには、Red Hatの創立者の1人であるRobert Youngのエッセイが載っていた。最初に読んだとき、1つの引用がわたしに大きな影響を与えた。Robertは次のように書いている。

 「独占企業のルールに従ってゲームをしていたら、独占企業に勝つことはできない。独占企業には資源もあり、販売チャンネルもあり、研究開発資源もある。つまり、彼らには力が有り余っているのだ。独占企業と競争するには、自分の持っている強みに有利になるように、ゲームのルールを変えるしかない…」

 その時点では、Red Hatがどれだけ成功するかは誰も知らなかった。しかし、Red Hatは確かにRobertが予言したとおりのことをやった。つまりゲームのルールを変えたのだ。これがわたしの提案することであり、広告を表示した者が収入の100%を得るように、ゲームのルールを変えるということだ。しかし、営利目的のオープンソース企業があるように、(わたしの「Open Source Business Model」の記事を参照してほしい)、これは営利目的のオープン広告ネットワークになるだろう。

どうやって収入を得るのか

 わたしは最近、GoogleのオープンソースプログラムマネージャーのChris DiBonaにインタビューを行った。彼は、商用アプリケーションがオープンソースの競合企業に対して「弱い」ことについて、興味深い見解を持っていた。企業が「弱い」ことについてではなく、彼らがビジネスモデルを変えたことについて話したのだ。

 「わたしが思うことは、こうです。もし営利目的の組織が、実現可能なオープンソースプロジェクトが登場して自社のソフトウェアを置き換えるため、もはやソフトウェアが売れないことを知り、オープンソース関係のサービスを販売するか、その分野の事業から撤退するかを決めなくてはならないとします。IBMは前者のやり方で大変うまくいっています」

 これが、わたしが提案するモデルだ。消えつつあるソフトウェアライセンスからの収益についてただ話すのではなく、新規参入者はもはやパートナーのページに広告を表示することでは広告ネットワークから収益を得ることはできないということを話しているだけのことだ。オープン広告ネットワークは、ネットワークから歩合を得ることができないようにし、業界がネットワークに関連するサービスを販売して収入を得なくてはならないようにするものだ。

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