この記事はVishal Sharmaが執筆し、Richard MacManusが編集した。
まず、本稿を編集したRichardからオーストラリアの概要を紹介する。オーストラリアの人口は2075万人で、2006年8月のNielsen//NetRatingsの調査によれば、インターネット人口は1466万3622人である。つまり、オーストラリアのインターネット普及率は70.7%であり、これは西欧諸国のほぼ平均値にあたる。しかし、ニュージーランドほどは高くはない。わが国ニュージーランドのインターネット普及率は76.3%だ(これは指摘しておかなくてはならない)。少し前にTanglerのMartin WellsにオーストラリアのWeb 2.0事情を聞いてみたところ、彼はわたしに、発展の程度は素晴らしいが、このように技術中心の国としては非常に規模が小さいと述べた(オーストラリアはLookSmart、Atlassian、Seek、MYOB、Micro Forte、Radiata、EServGlobal、Netcommなどを生み出している)。また、オーストラリアは腕のいい技術労働者を多数抱えており、ソフトウェアとイノベーションについては優れた実績があるという。
ビジネス面を考える際には、わたしはオーストラリアを力のある主要なメディア企業と結びつけて考えている。しかしMartinによれば、これまでのところ、大きなメディア企業内でのWeb 2.0技術の取り込みの動きは比較的緩やかだという。個人的には、わたしはNews Corp.や現在のFairfaxはこの領域で活発に動いていると見ている―― News Corp.のブログや一部のニュース記事の下部にあるソーシャルメディアリンクなどがその例だ。しかし、これはメディアの大企業の一部から泡のように湧き出てきているだけなのかも知れない。
いくつかの例外(TVPやNEOのような)を除けば、オーストラリアのベンチャーキャピタルは保守的すぎ、Web 2.0の知識やインターネットビジネスモデルに対する知見にも乏しい。このため、OmnidriveやTouchstone、PodCast Networkなどの多くのオーストラリアの新興企業は、積極的に米国のベンチャーキャピタルを探している。The Bulletin誌(訳者注:オーストラリアで展開しているNewsWeek系列の有名なニュース誌)は最近、この事情についてより詳しく説明する記事を掲載した。
わたしからの紹介はこれくらいにして、Vishalのオーストラリアでよく知られているWeb 2.0アプリケーションリストに移ろう。これは彼の過去の投稿から更新したものだ。
汎用ウェブストレージプラットフォーム:Omnidrive。Omnidriveは、ウェブブラウザやWindows、Macのほか、モバイル端末からもアクセスできる本格的なウェブストレージプラットフォームだ。このサービスでは、ユーザーや開発者はウェブ上の共有コンテンツ(マルチメディアのものを含む)やファイルに簡単にアクセスでき、クリック1つで共有や公開ができる。Omnidriveは、Nik Cubrilovicが2005年2月に非公開のベータ版として始めたものだ。非公開のベータ版には70カ国から2万人以上のユーザーが登録し、500人の開発者がOmnidriveのAPIを使ってアプリケーションを開発した。Omnidriveは2006年のAustralian Export Awards(オーストラリア輸出賞)のIT部門の最終選考に残り、MSNのオーストラリア地域向けポータル「ninemsn」内のThe Bulletineページで取り上げられた。
お気に入りサイトとアプリケーションを追跡するデスクトップアラートサービス:Touchstone。Touchstoneはウェブサイトやウェブ上の対話や興味深い情報を断片的に追跡するサービス。登録しておいたサイトやアプリケーションに変化があると、ユーザーにさまざまな方法で通知してくれる。このサービスは、新しい情報がどのくらい重要かということまで判別し、その重要性に応じてデスクトップ上に警告を出してくれる。Touchstoneは2006年1月から開発が続けられており、6月にアルファリリースされた。間もなくベータリリースされる予定だ(訳者注:2006年11月にベータリリースされている)。
企業向けWiki、プロジェクト管理、バグトラッキング:Atlassian。Atlassianは2つのアプリケーションを開発している。「Jira」(バグトラッキングソフトウェア)と「Confluence」(企業向けWiki)だ。JiraはAtlassanの最初の製品で、Fortune 100企業の半数がAtlassianの製品を使っている。AtlassianはMike Cannon-BrookesとScott Farquharの2人が2002年に設立した。当初から2005年頃まで、Atlassianは四半期あたり40%の成長を遂げており、その後の成長率も四半期あたり20%前後を保っている。AtlassianはVCなどの第三者からの資金提供を受けることなく経営的に成功している(Atlassianは最近までRead/WriteWebのスポンサーだった)。
ブログ検索エンジン:gnoos。gnoosはTechnoratiに触発されて作られたブログ検索エンジンだ。gnoosは国内のブロガーに焦点を当てて作られている。Ben Barren(Web 2.0ワークグループへのコントリビュータ)とMichael Leoneによって設立され、中核となる検索エンジンは2006年5月に公開された。間もなく提供される予定の国内向けのサービスには、構造化されたブログ(Structured Blogging)、動画、画像、求人情報などがある。
電子メールを利用したブロガー向けマーケティング:Zookoda。Zookodaはブログ告知サービスを提供している。ブログの要約を電子メールで送り、ブログを広める機能を持つ。Zookodaはブロガーに、自分のメーリングリストの管理や電子メールのデザイン、ブログの要約の配布、受信者の利用状況の追跡などを行えるツールを提供している。このサービスは2006年3月に始まったもので、今は売却先を探している。
作業リストサービス:Remember the Milk。このサービスは、他のToDoリスト同様、ユーザーがオンライン上で作業リストを管理できるというもの。Remember the MilkはGoogle MapsとSkype(IM)の統合機能を持ち、モバイル端末からも利用できる。このツールは世界中でよく利用されているアプリケーションで、155カ国に10万人のユーザーがいる。2005年10月にサービスを開始した。
モバイルからのインターネットサービス:bluepulse。bluepulseは、bluepulse widgetというプログラムを無償で提供している。これは、ネットワークやデバイスにかかわらず、ユーザーのプロファイルに基づいてモバイル端末にデータを送ることができるものだ。これらのウィジェットを使うと、インスタントメッセージ、映画情報、音楽、ニュース、RSS配信などのサービスにアクセスできる。この会社はBen Keighranがこのコンセプトを開発・商用化するために2002年に設立したものだ。同社はこの技術のパブリックベータバージョンを2005年5月に公開した。
ポッドキャスティング:The Podcast Network。The Podcasting Network(TPN)はCameron Reillyが2005年に開始したもので、世界で最初にポッドキャストビジネスを始めたところの1つだ。TPNはさまざまな分野の70以上のポッドキャストを制作しており、世界に30万人の視聴者がいる。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」