企業のために新しいソフトウェアを発明するのは非常に難しい。それを企業に売るというのは不可能に近い。新興企業がこの企業の厚い壁を乗り越えるには何年もかかる。新興企業に幸運が舞い降りても、その喜びは長くは続かない。次の朝にはいつもの決まり切った仕事に逆戻りだ。1つの製品しか持たない企業は、常に新しいところへ売り込みに行かなくてはならないということを意味する。
IBMが企業のチャネルを開き、それだけでなく継続的に新しい製品を供給するという完全試合を演じていたころにさかのぼってみよう。企業顧客に対して抱き合わせ商品や年末特別商品、割引などあらゆる種類の販売手法が使われ、そのチャネルは開いたままにされていた。
そこから2007年に時間を早送りすると、ソーシャルネットワークを提供する新興企業は大同小異の問題に直面している。片手で足りる程の数の企業が、頻繁に利用する大規模な利用者という現代的な販売チャネルを構築するのに成功した。しかし、この大規模な利用者だけで十分だろうか。新興企業は持てるものを完全に活用し、別の地平を切り開くべきではないのか。もし答えがイエスなら、どこまでサービスを拡大すべきか。この記事では、成長するソーシャルネットワークを観察して、彼らが別方向への拡大をどう見ているのかを考える。
冒頭で提示した質問に答える前に、一般向けソーシャルネットワークと専門ソーシャルネットワークの違いを理解しておくと助けになる。この記事の目的のために、ここでは一般向けネットワークを主として連絡を保つためのもの、専門ネットワークを人々が特別な共通の興味に基づいて集まっているものとしよう。この定義によれば、Facebook、MySpace、Bebo、そしてLinkedInでさえ、一般向けソーシャルネットワークであると考えられる。一方、del.icio.us、Flickr、LibraryThing、Flixsterなどは専門ネットワークを代表している。
専門ネットワークの主な利点は、よりよいユーザー体験を提供できることだ。その専門性から、ユーザーインターフェースは、焦点を絞った実りあるものにできる。例としてFlixsterを考えよう。最近のレビューで、映画ファンのための印象的な機能のセットを取り上げた。別の好例は有名な音楽ソーシャルサイトであるLast.fmだ。Last.fmはユーザーにiTunesやその他の人気のある音楽プレーヤーへのアドオンを提供し、自動的にユーザーの音楽に対するアテンションデータを取得している。そしてそれを、自分と音楽の好みの似ている別のユーザーに、洗練された方法で自動的に接続するのに使っている。このように、Last.fmは単に豊かな機能を持っているというだけでなく、注目するべき特別なインフラを持っている専門ソーシャルネットワークの例だ。
専門ネットワークの不利な点は、その専門にある程度縛られるということだ。後に議論するように、これは必ずしも絶対に避けられない制約ではないが、制約ではある。ユーザーは専門ネットワークをそういうふうに見ているし、全く異なる機能を付け加えると驚かれ、極めてリスクが高い。一方で、Facebookなどの一般向けソーシャルネットワークは、追加できる機能セットについてはもっと大きな自由度がある。実際、特別な機能を加えることは、多くのユーザーから前向きに見られる。一般向けネットワークのユーザーは、「1カ所で全てが揃う」のを好む考え方を持っているからだ。
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